にゃほー。
離乳食を開始する時って、食物アレルギーがあるかどうか不安だよね?先にアレルギー検査した方がいいのかな?
聞いてみよう!
特に、上の子が食物アレルギー持ちだったりすると、下の子の離乳食を始めるのは怖いですよね?
離乳食スタート前にアレルギー検査(アレルギーでよく行われる血液検査=特異的IgE検査)をする必要があるかどうか、解説します。
離乳食と食物アレルギー
離乳食を開始する前に、すでに”食物アレルギー体質” になっていることが多い
このブログ開始初期にお話しましたが、食物アレルギーの多くは離乳食開始前に感作(=アレルギー体質が作られてしまうこと)してしまっています。
過去ブログリンク アレルギーは治る時代1、アレルギーは治る時代2
そのため、食物アレルギーは『初めて〜を食べさせた時』に発症することが多いです。場合によっては ”アナフィラキシー(=全身のアレルギー症状)で命が危ない” なんてこともあります。
特に、上の子に食物アレルギー体質があった場合など、「下の子の離乳食を進めていくのが怖い」という言葉をよく聞きます。
離乳食開始前にアレルギー検査(特異的IgE)検査は必要か?
食物アレルギー体質がある場合、離乳食開始直前にアレルギー検査(=特異的IgE検査、血液で検査します)を行うと、かなりの確率で陽性になります。離乳食をスタートする前に『食物アレルギー体質がありそうかどうか』がある程度わかるんです。
将来食物アレルギーの体質になってしまうとしても、新生児期や生後2ヶ月頃のアレルギー検査で陽性になることは稀です。生後3〜5ヶ月頃にアレルギー検査が陽性になってくることが多いようです。離乳食を開始する前にアレルギー検査を行うのであれば、離乳食開始直前の生後4〜5ヶ月が妥当と言えます。
「それなら、全ての子どもで離乳食開始前にアレルギー検査をすれば良いじゃないか。」という言葉が聞こえてきそうですが、そう簡単ではないんです。その理由を説明します。
アレルギー検査が陽性(=食物アレルギー疑い)になる子どもは全体のごく一部
食物アレルギー体質になってしまう子どもは全体の1割程度と言われています。全体から見たらごく一部の子どもしか食物アレルギーにならないんです。
結果論ですが、多くの子にとっては無用の検査といえます。
全ての子どもを採血するなんてムリ。
1歳になる前の乳児は血管が細く、暴れることが多いため、採血が非常に難しいです。医療費の観点からも網羅的に全員の採血をすることは不可能です。
食物アレルギー体質じゃない人でもアレルギー検査が陽性になることがある
食物アレルギーの体質があると、”アレルギー検査(特異的IgE)検査が陽性” になりやすいのは確かですが、食物アレルギー体質があっても ”検査は陰性” の場合も稀にあります。
逆に、食物アレルギー体質が全く無くても ”アレルギー検査が陽性” (偽陽性)に出てしまうこともあるんです。
アレルギー検査は「アレルギー体質があれば陽性になりやすい」「アレルギー体質がなければ陰性になりやすい」
アレルギー検査だけで食物アレルギーが”有る”か”無い”かを判断するのは不可能です。
離乳食開始前のアレルギー検査(特異的IgE検査)を行う場合もあります
すべてのお子さんに対して「離乳食開始前アレルギー検査」を行なうのは不可能ですし、無用であることは前述の通りですが、下記のお子さんに対しては「離乳食開始前アレルギー検査」を行っています。
- 離乳食開始前に湿疹や乾燥肌が多発していた子
近年の研究で、湿疹・乾燥肌が ”食物アレルギー体質になるかどうか” に大きく関わっていることが判明しました。アトピー性皮膚炎と診断されたお子さんでは、食物アレルギー体質になる可能性が5〜6倍に跳ね上がることがわかっています。
この場合は、結構な確率で食物アレルギー体質になるため、離乳食開始前に検査を行うことがあります。
離乳食で大事なこと
アレルギー検査で「食物アレルギー体質があるかどうか」の確定はできません。アレルギー検査が陰性でも食物アレルギーを発症することもあります。
離乳食で初めての食材をチャレンジするときは、よく火を通した加工品を少量からチャレンジするのをお勧めします。万が一発症してしまっても軽症で済むことが多いからです。
少量で何も症状が出ないことを確認できたら、別の日に少し増量して再チャレンジ。それを繰り返す様にしましょう!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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