にゃほー。昨日は『ミックス離乳食』はまだ安全かどうかわからないから気をつけてね!っていう話題だったね。安全性が確立されていない健康食品は危険な場合があるんだよ。今日は、過去にあった『健康食品での健康被害』のお話しだよ!
効果・安全性が確立されていない健康食品は危ない。
スギ花粉舌下免疫療法
健康被害事件の紹介の前に、スギ花粉舌下免疫療法について解説します
『スギ花粉舌下免疫療法』とは、すでにスギ花粉症の体質になってしまった患者さんに、スギ花粉成分を少量含む内服薬を1日1回、舌下服用(ベロの下で溶けるのを待ち、1分後に飲み込む)してもらうと、体がスギ花粉に慣れていき、スギ花粉症体質が改善、スギ花粉を浴びても症状が出にくくなっていくという治療法です。
現在では、この治療法はかなり安全であることが証明され、自宅で服用が可能です。治療期間は2〜3年かかりますが、通院は月1回ペースで大丈夫であり、半数以上の方が効果を実感されるほどよく効く治療法であり、徐々に人気が出てきています。
アレルゲンを食べるとアレルギーは予防・治癒する可能性
スギ花粉に限らず、腸管はアレルギーを抑える(予防・治癒)方向に働くことがわかってきました。
食物アレルギーでもそうですね。症状が出ない程度の少量を食べ続けた方が治りが良いとされています。
スギ花粉ではその効果が顕著であることがわかってきています。
”スギ花粉入りカプセル” が健康食品として販売された
スギ花粉舌下免疫療法が確立される以前(まだスギ花粉舌下免疫療法薬が発売されていなかった時期)、「アレルギーは食べると治る」という情報を得た健康食品会社が、あろうことかスギ花粉そのものをカプセルに詰めて健康食品として販売したのです!
もちろん、スギ花粉そのものを飲んで安全かどうかなんていうデータはどこにもありません。花粉症が治るかどうかのデータもありません。
日本では効果と安全性が確立されていない薬は発売できませんので、『健康食品』として販売したようです。
確かに天然素材100%・・・
案の定、健康被害発生!
症例報告 スギ花粉入りカプセル服用後にアナフィラキシーショックを呈した症例
アレルギー学会 学会誌 フリーアクセスでしたので掲載します
経過を簡単にまとめると、
- スギ花粉症の体質がある人が健康食品『スギ花粉入りカプセル』を服用
- その後にテニスをした
- 直後から全身じんましん、呼吸困難出現
- 友人が近くの病院に車で搬送
- 病院到着時にはアナフィラキシーショック(全身のアレルギー症状で血圧低下、意識消失、生命の危険)
- 人工呼吸器等の集中治療でなんとか助かった
命を落としてもおかしくない状況でした。
まとめ
昨日のブログ記事でも忠告しましたが、”安全性が確立されていない健康食品は危険” なんです。
体の健康に興味を持つことはとても素晴らしいことですが、何事も安全に行うことが大事です。
効果・安全性が証明されていない健康食品・民間療法は、逆に健康に良くないことがあります。また、効果が証明されている健康法でもやり過ぎはダメです。
安全性が確立されていない健康法はやめようね!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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