アレルギー全般

同じ『アレルギー専門医』なのに・・・

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にゃっほー

にゃほー。
『アレルギー専門医』って、他の専門医にはない特徴があるんだ。解説するよ!

専門医資格について解説

「専門医」は主に ”学会” が認定する資格

医師には医者として働くのに必須の資格である医師免許の他に、「〜専門医」という資格があります。

医学分野は範囲が広すぎるため、多くの医師は自分が興味のある分野を集中的に勉強し、その専門分野の学会(専門医または専門医取得を目指す医師の集まり)に所属します。

「〜専門医」という資格は、この ”学会” と、”専門医機構”という数ある専門医を統括する組織が主体になり、「専門医試験」で好成績を取った人に与える資格です。

専門医資格を持っていなくても医師として働くことは可能であり、専門医の資格があるかどうかはほとんど給与などには反映されません(ごく一部の医療機関では反映されるらしいです)。

「専門医」は大きく分けて2種類

「専門医」はなんと全部で42分野も存在します。

大きく分けて2種類に分かれます

基本領域専門医(19分野)
・内科 ・小児科 ・皮膚科 ・精神科 ・外科 ・整形外科 ・産婦人科 ・眼科 ・耳鼻咽喉科 ・泌尿器科 ・脳神経外科 ・放射線科 ・麻酔科 ・病理 ・臨床検査 ・救急科 ・形成外科領域 ・リハビリテーション科 ・総合診療

サブスペシャルティ領域専門医(23分野)
・消化器病 ・循環器 ・呼吸器 ・血液 ・内分泌代謝 ・糖尿病 ・腎臓 ・肝臓 ・アレルギー ・感染症 ・老年病 ・神経内科 ・リウマチ ・消化器内視鏡 ・がん薬物療法 ・消化器外科 ・呼吸器外科 ・心臓血管外科 ・小児外科 ・乳腺 ・内分泌外科 ・放射線診断 ・放射線治療

基本領域専門医は総合病院などでよく目にする「科」による分類です。
こちらは普段から接する機会も多い分類なのでイメージしやすいと思います。

これに対し、サブスペシャルティ領域専門医は「病気でやられる臓器」「病気の性質・属性」「基本領域分野内のさらに細分化された分野」などによって分類されています。
基本領域と比べると分類の定義が曖昧でごちゃごちゃした感じがあります。

サブスペシャルティ領域の専門医取得できるのは30歳超えてから

サブスペシャルティ領域専門医の多くは、”関連する基本領域専門医の資格(1階部分)を取得した後” に取得を目指す、2階建ての専門医資格です。

医師免許を獲って医師として働き始めるのが最短で24歳。その後、専門医の種類によって受験できるまでの年数に少し差がありますが、基礎領域専門医を取得できるのが最短で27歳頃、サブスペシャルティ領域専門医を取得できるのは早くても29〜30歳頃になります。

もう若手とは言えない年代になっていますね。
サブスペシャルティ領域の専門医資格を持っている医師は ”ベテラン” と呼んで差し支えないと思います。

アレルギー専門医は少し特殊

『アレルギー専門医』には ”5つ” もの基礎領域が関与する

サブスペシャルティ領域専門医を取得するためには、関連する基礎領域専門医を取得していないといけません。

ほとんどのサブスペシャルティ領域専門医では関連する基礎領域専門医は1〜3種類のみです。
例えば、サブスペシャルティ領域専門医の1つである「循環器専門医」に関連する基礎領域専門医は「内科専門医」「外科専門医」「小児科専門医」の3つです。

これに対し、『アレルギー専門医』に関連する基礎領域専門医は『内科』『小児科』『耳鼻科』『皮膚科』『眼科』です。なんと5領域もの分野が関わっています。

同じ『アレルギー専門医』なのに普段診ている病気が違う

『アレルギー専門医』は所属する基礎領域科によって、普段診ている病気に大きな偏りがあります。

  • 内科・・・気管支喘息、(じんましん)、(アレルギー性鼻炎)
  • 小児科・・・食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、じんましん、アレルギー性鼻炎、(アレルギー性結膜炎)
  • 耳鼻科・・・アレルギー性鼻炎、(アレルギー性結膜炎)
  • 皮膚科・・・アトピー性皮膚炎、じんましん
  • 眼科・・・アレルギー性結膜炎

眼科のアレルギー専門医の先生に「アトピー性皮膚炎」の細かい相談をしても難しいかもしれません。皮膚科のアレルギー専門医の先生に「食物アレルギー」の細かい相談をしても難しいかもしれません。(もちろん、領域外の分野にまで精通されているすばらしい先生もいらっしゃいます。)

”小児科のアレルギー専門医は万能!最強!” と言いたいところですが、「成人の気管支喘息」の経験が不足しています。また、主に「成人のアトピー性皮膚炎」に対して行われる紫外線療法(皮膚に紫外線を照射して治療)」や「抗リウマチ薬(抗免疫薬)など、一部の治療を行うことができません。「重症アレルギー性結膜炎」も視力や眼圧などを測りながら治療する必要があるため難しいです。

同じ『アレルギー専門医』でも、基本領域によって「得意分野」「不得意分野」が存在

アレルギー専門医がどこで勤務しているかどうかはこちらから検索できますが、出身の ”基本領域科”によって得意・不得意があることは是非覚えておいてください。

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にゃっほー

同じ『アレルギー専門医』でも医師によって得意分野・不得意分野があるんだね!

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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