食物アレルギー

イクラアレルギー

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にゃっほー

にゃほー。
もう年末だね!みんなは年末年始に『イクラ』を食べる予定あるかな?
今日は『イクラアレルギー』を特集するよ!

魚卵アレルギー

『魚卵アレルギー』患者が増加

まずは表をご覧ください。


2002年データ

2021年データ

昭和の時代まで、『魚卵アレルギー』はあまり問題にされてきませんでした。食物アレルギー患者が全体的に少なかったのもありますが、「子どもがイクラを沢山食べると病気になる」くらいのことを言われ、現代よりもイクラを食べる機会が少なかったようです。イクラを子どもが食べても、普通の量をたまに食べるくらいなら問題ありません。もしかしたらイクラは高級品なので子どもに食べさせたくなかったのかもしれません。

平成に入り、回転寿司屋さんが人気になり、1〜2歳くらいの小さなお子さんもイクラを積極的に食べるようになりました。1〜2歳でイクラを食べても問題はありませんが、塩分が高めなので食べ過ぎには注意です。

『魚卵アレルギー』と一括りにしてはいけない

「イクラアレルギーがあると他の魚卵も食べてはダメ」と考えがちですが、これは誤解です。

『イクラアレルギー』と診断された人で『タラコアレルギー』を併発する人は25%、『シシャモ卵アレルギー』を併発する人は11%というデータ(食物アレルギーガイドライン2021より)があります。実際はさまざまな魚卵に対してアレルギーがある人は多くはありません。

もちろん、”魚卵全般” にアレルギーがある人もいますが、それぞれ別の食品として、ひとつひとつ、しっかりと診断してもらう必要があります

イクラは鶏卵や魚肉とは全く成分が違います。「鶏卵アレルギーだから魚卵も除去」というのは間違いです。鶏卵アレルギーがあっても、魚卵は食べられることが多いです。かかりつけ医に魚卵を食べて良いかどうかしっかりと相談しましょう。

イクラアレルギー

イクラって何の卵?

『イクラ』は何の卵だと思いますか?

正解は、秋鮭の卵です。一般的に秋鮭の卵を『イクラ』と呼ぶのですが、鱒(マス)の卵も『鱒イクラ』と呼ばれ、スーパーなどでも普通に売られています。『鱒イクラ』のほうがやや小ぶりですが、見た目はそっくりです。

ちなみに、『秋鮭イクラ』も『鱒イクラ』もパッケージ裏の “特定原材料表記” では『イクラ』と表記されます。

サケもマスも生物学的にはほぼ同類であり、明確な区別は無いそうです。おそらく卵の成分もほとんど同じです。(いろいろ調べましたが正確なデータは見つかりませんでした。)

『秋鮭イクラ』も『鱒イクラ』も同じ『イクラ』として考えて良いだろうと思います。

イクラのアレルゲン

イクラのアレルギー成分(アレルゲン)はOnk k5です。この成分はタラコなどに含まれている成分に少し似ているのですが、前述のように、「イクラもタラコもアレルギー持ち」という人はそれほど多くはありません。

アナフィラキシーを起こしやすい

イクラアレルギーの方を何人も診察しましたが、他の食品と比べ、アレルギー症状が強く出やすい印象があります。嘔吐・腹痛、咳込み・ゼーゼーなどのアナフィラキシー(アレルギー全身症状)を伴うことも多く、時に重篤な症状に至ることがあります。

イクラを初めて食べさせるときは少量から、徐々に増やしていくようにしましょう。万が一、イクラアレルギー体質があっても軽度の症状で済む可能性が高くなります。

免疫療法はほとんど行われていない

鶏卵、乳、小麦、ピーナッツなどの食物アレルギーでは、 『症状が出ない程度の少量のアレルゲンを定期的に食べて体を慣らしていく治療法(=免疫療法)』が一般的になってきています。

これに対し、魚卵や甲殻類、ソバなどでは、この免疫療法はほとんど行われていません。

  • 鶏卵、乳、小麦などのように、頻繁に食べる食材ではない
  • 魚卵やソバなどを食べる国は少なく、免疫療法が効果的かどうかのデータがほとんど無い
  • 魚卵アレルギーはわりと微量で症状が出ることが多い

以上の理由から、”イクラを少量ずつ食べて体を慣らしていく” 免疫療法は一般的ではありません。

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Dr.小柳

年末年始はほとんどの医療機関がお休みです。万が一アレルギーだった場合に困るので、年末年始に ”初めてイクラを食べさせる” のはできる限り控えましょう!

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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