にゃほー。
長岡にも『高級食パン屋さん』増えてきたね。今日は『高級食パンと食物アレルギー』について考察するよ!
『高級食パン』と食物アレルギー
高級食パンとは
2018年頃から首都圏を中心に徐々に広がってきた『高級食パン』。2斤で800〜1000円程度の価格設定で、街のパン屋さんの4〜5倍近い値段です。”手の届くぜいたく” ということで一大ブームとなりました。「変な名前の高級食パン店」などでも話題になりました。
長岡市内にも数店舗の『高級食パン専門店』が店を構え、そこそこ流行っているようです。
しかし、全国的にはそろそろこの『高級食パンブーム』は人気に翳りが見えてきているらしいです。店舗が乱立して目新しさがなくなってきていること、味に慣れてきたこと、通常の食パンより日持ちしないこと、できたては美味しいけれど冷えると硬くなって美味しさが落ちてしまう、トーストする場合は従来の食パンの方が美味しいなど、様々な要因があるようです。
なんだかんだ言っても、柔らかいし甘いし、”おいしい” のは確か。私は好きです。
今日は、『高級食パンと食物アレルギー』をテーマに考察します。
高級食パンの製法
従来の食パンは『中種法(なかだねほう)』という製法で、生地をきちんと発酵させて作ります。発酵時間を長くとる必要があり、生地を寝かせておく場所が必要になります。この製法は時間が経っても硬くなりづらく、日持ちするパンができるそうです。
これに対し、高級食パンは『ストレート法』という製法で、生地の発酵時間が短く、省スペースの店でも大量生産がしやすいそうです。美味しさのピークは出来上がった当日で、翌日には硬くなり始めて味が落ちるそうです。トーストなどはあまり推奨されず、”生” で食べるのが推奨されています。
高級食パンに使用される小麦粉は従来の食パンと同等のものが使用されることが多く、特別高級な小麦粉が使用されているわけではないようです。バターや生クリーム、蜂蜜などを多く練り込んで作られるため、とても甘いのが特徴です。菓子パン並みに甘い食パンが多いようです。
食物アレルギーへの影響
小麦アレルギー
小麦アレルギーの主要な原因成分はグルテンです。
食パンには強力粉が使用されます。うどんなどに使用される薄力粉に比べ、グルテン含有量が多いことがわかっています。同じ分量の小麦粉で比較するなら、食パンの方が症状が出やすいと言えます。
小麦アレルギーの原因になることがあるもう一つの成分がω(オメガ)5グリアジンです。
こちらはグルテンほど有名ではありませんが、”ω5グリアジンアレルギーがあるとアナフィラキシーなどの重症アレルギー発作を起こしやすい” と言われています。
グルテンは加熱や発酵ではそれほど分解されませんが、ω5グリアジンは発酵でかなり分解されるようです。
小麦アレルギーで食パンを食べられるのは治りかけになった頃ですが、過去に小麦摂取でアナフィラキシー症状の既往がある方は、発酵時間の短い高級食パンはω5グリアジン含有量が多いので注意が必要かもしれません。
乳アレルギー
高級食パンでは牛乳や生クリームがふんだんに使われています。
乳アレルギーでは、含有している牛乳量をしっかりと把握するのが重要なので、ある店舗に問い合わせたことがあるのですが、「企業秘密です」と言って教えてくれませんでした。残念です。
結構いっぱい乳成分が入っているのは間違いなさそうです。
鶏卵アレルギー
従来の食パンでは、風味やコクをUPしたり、きれいな焼き色をつけたりするために鶏卵を含んでいることが多いです。鶏卵には酸化防止作用もあるため、保存剤として添加されることもあります。
一方、鶏卵をつなぎに使用すると、食パンが硬めに仕上がってしまうようです。高級食パンではパンの柔らかさを重視する傾向があり、鶏卵を全く使用しないものも多いようです。
同じ ”食パン” でも『高級食パン』と『従来の食パン』には結構違いがあることがわかりました。(そもそも製法が違う)
食物アレルギーで原因食品の少量摂取を頑張っている人も多いと思いますが、同系統の食品でも含有成分には大きな違いがあるので注意してください。
おやなぎアレルギークリニックの近くにも ”あの” 高級食パン屋さんがあります。とっても美味しいですよ!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
小柳先生、お忙しい中いつも更新ありがとうございます!前後しますが、200記事おめでとうございます。
娘は卵乳アレルギーがあり、今はトレーニングで乳のみ入っているパンを食べていますが、
はじめは卵乳なしのロールパンを食べていて、
(決してそのパンの批判ではありません)やはり冷凍物での購入なので、解凍した後に食感が固くなったりしてしまっていました。(もちろん味もとってもおいしいパンなのです!)ですがトレーニング用のパンに変えたところ、柔らかい、おいしいといいました^ ^
除去されていないパンは、柔らかさや香り、味ももちろん違うので、早くアレルギー物質を気にせず食べられるようになれたらなぁと思った記事でした。
きっと高級食パンなんて、食べたら好きになると思います^ ^
(長くなってすみません、そして、ロールパンの批判ではございません(>人<;))
匿名希望さん、ありがとうございます。
食物アレルギーの方が増え、『7大アレルゲン不使用食品』も至る所で目にするようになりました。
これはとても喜ばしいことなのですが、食物アレルギー患者さんが本当に求めている食品は、『含有量がしっかりと分かる食品』です。
食物アレルギーでは「症状が出ないように少量食べる」のがスタンダードになってきていますが、鶏卵・乳などの含有量が正確に分かる食品がほとんどありません。
「1包装あたり牛乳3ml含有、200度10分加熱済み」とか書いてあったら摂取練習に使いやすいのになあと思います。
「含有量は企業秘密です」というのはやめてほしいですね!