一般小児疾患

小児科医悲願のワクチンが完成

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にゃっほー

にゃほー。
ついに ”あれ” が完成したんだって!

妊婦に接種するRSウイルスワクチン

RSウイルスはとてもありふれた風邪

みなさん、RSウイルス感染症をご存知ですか?

お子さんのいる家庭なら一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、とてもありふれた風邪の1つです。2歳までにほぼ全ての子どもが感染するとも言われています。

え?うちの子かかったことがないって??
実はRSウイルス感染症は軽度の鼻汁・咳くらいの症状のみの場合もあり、症状が軽度の場合は検査をされないので気づかないことが多いのです。

国立感染症研究所提供

WHO発表の「1歳未満の呼吸器感染症の割合」

グラフをご覧の通り、1歳未満でかかる呼吸器感染症の6割以上を占めています。

乳幼児にとっては最大級の脅威

RSウイルス感染症は初めて感染した時に重症化しやすく、乳幼児では気管支炎や肺炎に至ることが多いです。とく生後数ヶ月の乳児では入院が必要になることがとても多いのです。

重症化すると無呼吸発作を起こして死亡することもあります。WHOの統計では5歳未満児のRSウイルス関連下気道感染症では、全世界で年間300万件以上の入院が発生し、約6万例が死亡しています。RSウイルスで入院した児の2%が亡くなっている計算です。

みなさんCOVID-19やインフルエンザのほうが怖い病気というイメージだと思いますが、成人と比べて乳児では軽症のことが多いです。1歳未満の乳児では圧倒的にRSウイルス感染症の方が危険な病気と言えます。

ついに念願のワクチンが完成

RSウイルスは変異を繰り返すタイプのウイルスためワクチンを作るのが非常に難しく、つい最近までワクチンが存在しませんでした。シナジス®という抗体薬は存在したのですが、毎月投与する必要があり、非常に高額な薬のため限られた対象にしか投与されませんでした。

今回開発されたのが、”妊婦さんに接種して生まれてくる赤ちゃんの免疫をつくる” という珍しいタイプのワクチンです。生まれたばかりの新生児にワクチンを接種しても抗体が出来づらいため、お母さんに ”抗体を作ってもらう” というメカニズムです。

日本や米国など18カ国の妊婦7千人超を対象に行われた治験では、発症を予防する効果は生後3カ月以内で57・1%(重症を予防する効果は81・8%)、半年以内で51・3%(同69・4%)だったそうです。重症化予防効果が高く、非常に期待できるデータです。

今回ワクチンが承認されたため、近いうちに市場に出回ると思われます。

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Dr.小柳

RSウイルスで重症になったお子さんを何人も診ました。このワクチンの安全性がしっかりと確認されて多くのお子さんが救われることを願っています!

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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