にゃほー。今日はマスクについてのお話だよ。
マスクは必要?
コロナ禍でマスクをするのが当たり前に
皆さん、マスクしてますか?
昨年から大流行している新型コロナの影響で、外出時や家族以外の人と会う時はマスクをするのが当たり前の世の中になりました。
外出の際にマスクを忘れると、財布を忘れてしまった時のようにソワソワしてしまい、自宅に取りに戻った経験のある方も多いのではないでしょうか?
新型コロナが出始めた時はマスクが重要視されていなかった
だいぶ昔になりますが、”マスクには感染予防効果があまり無いのではないか” という研究発表があり、感染症の専門家の中にも、この論文を根拠としてマスク不要を訴える方が結構いました。
そのため、昨年2月頃にクルーズ船での新型コロナパニックが発生した時点では、まだマスクの効果については賛否両論でした。
WHOは『マスク不要』発言を撤回した
昨年3月頃、WHOはこの論文を主な根拠に、『マスクは無理につけなくても良い』という声明を出しました。
しかし、その後にマスクの有用性について複数の論文が発表され、1ヶ月程度でこの発言は撤回されました。
マスクは重要!!
マスク不要論に反論
マスク不要を強く訴えている人の言い分は、「マスクの繊維の隙間の方がウイルスよりもかなり大きいから、ウイルスはマスクを通り抜ける」「マスクをしてもマスクと顔の隙間からウイルスが入り込む」というものです。
今日はこれについて反論したいと思います。
マスクをする目的は『息を遠くに飛ばさないこと』
ウイルスは目に見えないほど小さく、マスクの目よりも小さいのは確かです。しかし、ウイルスには羽が生えているわけでは無いため、自分で空気中を移動することはできません。ウイルスは『空気の流れに乗って移動する』のです。
- 顔の30cmくらい前に手のひらをかざして、マスク無しで、息を吹きかけてみてください。→普通に息の流れを感じると思います。
- 次に、マスクをしっかりと付けて、同じように息を吹きかけてください。→息の流れがかなり弱くなるはずです。
このように、口から出てきた息はマスクでせき止められ、遠くに飛ばなくなります。この効果はどんな種類のマスクでも見られますが、N95マスク>不織布マスク>布マスク>>ウレタンマスクの順に効果が弱まります。
ウレタンマスクは隙間が大きすぎて息の流れを遮る効果に乏しいです。物によっては付けている意味がほとんどないものもあります。布マスク以上のマスクが推奨されます。
マスクは感染者がウイルスを広範囲にばら撒かないようにするための物
このように、マスクの一番の効果は息の飛ぶ範囲をかなり狭くし、ウイルスを遠くに飛ばさないことです。
新型コロナウイルスは、感染してもほぼ無症状の場合も多く、知らないうちにウイルスをばら撒いている方がかなり多いようです。
新型コロナウイルスの大流行を終息させるためには、全員が『自分は全く無症状だけれど、ウイルスを持っているかもしれない』という意識を持って、他人と会う時は必ずマスクを着用するのが重要です。
アクリル板などのパーテーションよりもマスクが大事
飲食店を中心に、アクリル板などのパーテーションが整備されるようになりました。
パーテーションも息の流れを遮る効果はありますが、一度空気中に拡散したウイルスは長時間浮遊するため、パーテーション区画内はかなりの量のウイルスで汚染されます。汚染された区画内の空気を換気せずに他の人がこの区画内に入ると、かなりの量のウイルスを浴びてしまいます。
パーテーションは頻繁な換気をしないと逆効果になることがあります。
非感染者がつけてもそれなりに有効
ウイルスをばら撒くひとがマスクを着用する重要性について述べましたが、ウイルスを浴びる側もマスクをすることで空気中に漂っているウイルスが体内に侵入する量をある程度減らせる可能性があります。
着用方法を間違って、マスクと顔の隙間が大きかったり、鼻出しマスクだったりするとあまり効果がないと思いますが、きちんと着用できれば、それなりの感染予防効果があることはいくつかの研究で裏付けられています。
予防接種が終わっていてもマスク着用!
アメリカやイギリスなど、新型コロナウイルス予防接種がかなり進んだ国で、新規感染者数が激減し、マスク着用義務が解除されました。
その後、新規感染者数が再び増加に転じ、再び感染拡大の様相を呈しています。
つい最近、イギリスの著名な科学誌「ネイチャー」で ”新型コロナウイルスは予防接種だけでは止められない。予防接種が2回以上終わっていてもマスク着用は大事” と報じられました。
皆さん、マスクを着けましょう!
文責; 小柳貴人(アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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