
にゃほー。
なんだか大変な議論が進んでいるみたいだよ!!!
「OTC類似薬」を保険適用外にする議論が行われている
元記事
先日Yahoo!ニュースで取り上げられた記事です。
日本の医療の根幹を揺るがすような議論であり、突然のニュースに仰天してしまいました。
「OTC薬」とは
OTCは ”Over The Counter” の略で、カウンター越しに買える薬という意味です。
つまりドラッグストア・薬局で処方箋なしで買える市販薬のことです。
「OTC類似薬」とは
「OTC類似薬」は、医師の診断を受けて処方される薬の中で、ドラッグストアなどで購入できる「OTC薬」と同じ成分や効能のある薬を指します。
つまり、「OTC類似薬」は医師の診察の後に医療保険を利用して処方してもらうことも可能、医師の診察を受けずに自分で薬局へ行って同様の薬を自費で購入することも可能という薬剤です。
なぜ保険適用外にする議論が行われているのか
近年、薬価や医療物品および人件費の高騰などにより、国全体の医療費が肥大化し、国民から徴収されている社会保険料では賄えなくなっています。国債(国の借金)で不足分を補填してきましたが、そろそろ限界が近いようです。近い将来、日本の医療保険制度が維持できない状態に追い込まれているらしいです。
増大し続ける医療費を少しでも減らすため、風邪薬や湿布薬など、「薬局で購入できるような薬は医療保険を利用しないで自費で買ってね」という目論見なのかもしれません。
小児医療制度が崩壊してしまう恐れ
現在、国内のほとんどの自治体が小児医療に対して補助制度を導入しています。この制度のお陰で、18歳未満の方は無料・もしくは一定額の支払いのみで「医師の診察→処方箋発行→調剤薬局で薬受けとり」が可能となっています。
小児科外来でよく処方される薬(風邪薬や整腸剤など)の多くは「OTC類似薬」に当てはまり、もし今回議論されている「OTC類似薬は保険適用外になるから薬局で買ってね」という制度が成立してしまうと、風邪薬や整腸剤、解熱剤などの薬が保険適用外となってしまうため、自費購入という形になってしまうかもしれません。
自治体が薬代補助をしてくれる可能性もあるかもしれませんが、その場合、今まで国の医療保険で賄われていた薬代が自治体負担になってしまいます。いずれにしても現在の小児医療制度が崩壊してしまうかもしれません。
20年以上前から、少子高齢化により医療保険制度が破綻してしまう可能性は指摘されていました。有効な対策が打ち出せず、医療崩壊”待ったなし”の状態です。
安易な対策では大きな歪(ひずみ)ができてしまいます。国には慎重な議論をお願いしたいところです。
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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