食物アレルギー

保育園でヒスタミン食中毒 園児17人発症

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にゃっほー

昨日のYAHOO!ニュース記事についての考察だよ!

”保育園でヒスタミン食中毒 園児17人発症”  YAHOO!JAPANニュース

どうも「秋サンマの梅カツオ焼き」がメインおかずだったようです

ヒスタミン食中毒

ヒスタミン食中毒とは

魚類、特に青魚(アジ、サバ、イワシ、サンマ、カツオなどの表皮が青光りしている魚)の筋肉には『ヒスチジン』というアミノ酸が多く含まれています。

この『ヒスチジン』は魚の筋肉内の細菌(乳酸菌など)の働きによって『ヒスタミン』という物質に変化します。

『ヒスタミン』はじんましんなどの引き金になる化学物質であり、食物アレルギーや喘息などのアレルギー体質の全く無い人でも『ヒスタミン』を多く食べてしまうと、じんましん・鼻水・体の痒み・動悸・呼吸苦・咳などのアレルギーにそっくりな症状がことがあります。これが ”ヒスタミン食中毒” です。

魚の保管が悪いとヒスタミンが増えてしまう

採れたての新鮮な魚では、含んでいるヒスタミン量は微量であり、食べてもまず症状は出ません。

水揚げされた後の魚が比較的高温(室温など)で管理されると魚内の『ヒスタミン』がかなり増えると言われています。冷凍保存していれば『ヒスタミン』はほぼ産生されませんが、冷蔵保存でも『ヒスタミン』が増えてしまうことがあるようです。(厄介ですね。。。)

増えてしまった『ヒスタミン』は加熱しても分解されません。冷やしても分解されません。冷凍する前にすでに『ヒスタミン』が増えてしまっていると、冷凍魚でも ”ヒスタミン食中毒” はおこります。

”ヒスタミン食中毒” はアレルギーではなく、”仮性アレルゲン” による中毒症

原因物質(アレルゲン)に対して、血液中のIgEやIgGといった免疫物質が反応して発症する病気をアレルギーと呼びます。食物アレルギーやダニ・ハウスダストでの喘息はアレルギーです。

これに対し、”ヒスタミン食中毒” は『ヒスタミン』が直接体の様々な細胞に働きかけてじんましんなどの症状を起こします。アレルギーではありません。

この『ヒスタミン』のように、アレルギーっぽい症状を起こしてしまう成分を ”仮性アレルゲン” と呼びます。昨日のブログ記事で紹介したチョコレート内のチアミンも ”仮性アレルゲン” です。

本物の魚アレルギー(食物アレルギー)は複数の魚で症状が出ることが多いです。魚アレルギーはいろいろと複雑なのでそのうち特集します。

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魚の ”ヒスタミン食中毒” は冷蔵管理でも起こることがあります。しかし、今回の保育園での事故は17人も症状が出ており、流石に魚の管理が悪かったのかな〜?と思います。
園に入ってくる前の卸の段階で管理が悪かった可能性もあります。誰が悪いとかではなく、みんなで気をつけないといけないですね!

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にゃっほー

”ヒスタミン食中毒” は食物アレルギーでは無いんだね。”仮性アレルゲン” なんだって!

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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