にゃほー。
パンケーキシンドローム(パンケーキ症候群)だって!何だろうね?
今日はクイズ形式でご紹介!
皆さん、原因を考えてみてください。
パンケーキを食べたらアナフィラキシー
まずは症例を見てもらいます。具合が悪くなった原因を考えてみましょう。
症例
5歳男児
アレルギー性鼻炎で通院している(調子が悪い時だけ抗アレルギー剤を内服)
赤ちゃんの時から食物アレルギーは無く、なんでも食べている
- ある日、お母さんが作ってくれたパンケーキに蜂蜜とメープルシロップ、チョコレートソース、バターをかけて美味しく食べた
- 20分後から体を痒がりだし、よく見ると全身にじんましんが出ており、真っ赤
- さらに10分後、咳・ぜーぜー呼吸が始まり、呼吸が苦しそう
- 腹痛も訴え、嘔吐1回あり、ぐったりしてきた
只事ではないと感じた母は救急車を要請して病院へ
アナフィラキシーで間違いなさそう。原因は?
全身じんましん、呼吸苦・咳、腹痛・嘔吐、ぐったり
アナフィラキシー(全身のアレルギー反応)で見られる症状が揃っています。食べ終わってから急激に症状が出てきており、食物アレルギーによるアナフィラキシーが疑われます。
でも、この子には食物アレルギーの既往はありません。普段から何でも美味しく食べており、今回の食事は全て食べたことがある食材ばかりです。
さて、原因は何でしょう?
答え
実は、小麦粉、ホットケーキミックス・お好み焼き粉などを開封後、しばらく使用せずに常温で保管すると、粉の中にダニが繁殖することがあります。
この『ダニが繁殖した粉』を食べてしまうことで、”ダニの食物アレルギー” を起こすことがあるんです!
- 正式名称「経口ダニアナフィラキシー」
- 俗称「パンケーキシンドローム」
ひどい時は粉の半分くらいがダニに入れ替わってしまうこともあり、かなり大量のダニを食べてしまうことがあります。ダニアレルゲンは加熱しても弱くならないため、加熱調理したパンケーキやお好み焼きでも発症します。
主に増殖するダニは「コナダニ」という種類で、小さいので肉眼で確認するのは難しいですが、粉を顕微鏡などで観察するとうごめいているのが見えます。(実際に顕微鏡で観察したことがありますが、気持ち悪いです。。。)
「粉もの」は開封したら冷蔵庫へ!
コナダニは、小麦粉がメインの「粉もの」に増殖しやすいようです。砂糖や塩には増殖することはありません。
低温ではコナダニはほとんど繁殖しないそうです。小麦粉、ホットケーキミックス、お好み焼き粉は開封したら冷蔵庫で保管しましょう!
未開封でも常温で長期間放置すると繁殖することがあるようなので要注意です。
「お好み焼き屋さん」などの店舗は粉を開封してから使い切るまで数日以内なので、パンケーキシンドロームは起こりにくいようです。圧倒的に一般家庭で起こりやすいです。
「粉もの」は冷蔵庫保管!
ダニ・ハウスダストアレルギーの方、「パンケーキシンドローム」に要注意ですよ!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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