にゃほー。
最近、アトピー性皮膚炎の新しい薬がどんどん出てきているんだって!
そうなんです。この数年でアトピー性皮膚炎の新薬が続々と出てきました。今日はアトピー新薬について解説します。
今までのアトピー治療薬
外用薬(皮膚に直接塗る薬)
- ステロイド
- タクロリムス(プロトピック®︎)
内服薬
- ステロイド
- シクロスポリン(免疫抑制薬)
スキンケア(主に保湿剤)
- ヘパリン類似物質系保湿剤
- 尿素系保湿剤
- ワセリン等のエモリエント
タクロリムス軟膏が認可されたのが1999年で、その後はおよそ20年もの間、アトピーの新薬が開発されなかったのです。上記の治療薬でも適切な用量・用法を守って使用すれば、アトピーの多くは改善します。
しかし、昨日話題に取り上げた『内因性アトピー』などは、塗り薬で治療するのは難しい重症例も多く、重症アトピーに対する薬の開発が待望されていました。
アトピー新薬(この数年内に認可されたもの)
外用薬(皮膚に直接塗る薬)
- デルゴシチニブ(コレクチム®︎)・・・2020年認可 2歳以上
内服薬
- バリシチニブ(オルミエント®︎)・・・2020年認可 15歳以上
- ウパダシチニブ(リンヴォック®︎)・・・2021年認可 12歳以上
注射薬
- デュピルマブ(デュピクセント®︎)・・・2018年認可 15歳以上
今後承認される見込みの新薬
外用薬
- ジミファミラスト(モイゼルト®︎)
内服
- アブロシチニブ(サイバインコ®︎)
注射薬
- ネモリズマブ
- ヒト型抗OX40モノクローナル抗体製剤
とてもマニアックになるので、新薬のメカニズムなどには触れませんが、承認済み・今後承認見込みの薬はいずれも炎症反応のスタート〜途中を阻害する薬です。作用する部位がピンポイントであるため、副作用は軽いことが予想されます。
「アトピーの治療薬がめちゃくちゃ増えていいじゃん!」と思いきや、新薬の多くは従来の治療では治療が困難な重症例が対象になります。『内因性アトピー』などは良い適応になるかもしれません。
アトピー治療の選択肢がかなり増えてきたのは嬉しいけど、残念ながら10歳代以降の重症アトピーに対する薬がほとんどなんです。乳児に使用できる薬が全く増えません。
アトピーは2歳までの治療が最も大事なんだけどなぁ。
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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