アトピー性皮膚炎

アルコール消毒・手洗いによる手荒れ

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にゃっほー

にゃほー。
今日は、『アルコール消毒・手洗いによる手荒れ』についての解説だよ!

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Dr.小柳

今は新型コロナ感染症患者少し落ち着いていますが、オミクロン株とかいう新型も発生しており、予断を許さない状況が続いていますね。
まだまだ、アルコール消毒・手洗いの日々が続くと思います。手が荒れている人も多いと思いますが、アトピー性皮膚炎の方は特に手荒れしやすいようです。
なぜ手荒れが起こるのか?予防法はあるのか?について解説します。

アルコール消毒・手洗いによる手荒れの原因

アルコール消毒

手指の消毒に使用されるアルコールは消毒用アルコールと呼ばれ、主にエタノールや2-プロパノールなどのヒトへの毒性が低いアルコール類が利用されています。

高濃度の消毒用アルコールは、細菌やウイルスの油脂膜(エンベロープ)を壊して殺菌・殺ウイルス作用があると言われています。70〜80%のエタノールが最も殺菌作用が強いようです。(Wikipediaから引用)

細菌・ウイルスの消毒にだけ作用すれば良いのですが、ヒトの皮膚表面の脱脂作用・表皮細胞の脱水作用という、ありがたくない副作用が存在します。皮膚・皮下組織を守ってくれている皮脂や皮膚の水分が消失してしまうため、手荒れ(手湿疹)が起きてしまうのです

手洗い

石鹸による手洗いも同様で、石鹸の脱脂作用により、細菌やウイルスの油脂膜(エンベロープ)を攻撃し、ある程度の殺菌作用があるようです。殺菌しきれなくても、流水により手に付着した細菌・ウイルスは流れ落ちていきます。

特に石鹸を用いた手洗いはアルコールと同様に、ヒトの皮膚表面の脱脂作用が強く、皮膚を守ってくれている皮脂が消失してしまうことで手荒れ(手湿疹)が起きてしまいます。

アトピーは特に ”ひどい手荒れ” になりやすい

アトピー性皮膚炎の手荒れは重症化しやすい

アトピー性皮膚炎患者さんの皮膚は生まれつき保湿能力が低い方が多く、もともと水分がとても少ない状態です。さらに、皮脂の分泌能も低下しているため、皮膚の保護成分である皮膚内水分、皮脂のどちらも非常に少ない状態です。

アトピー性皮膚炎の体質がある人は、アルコール消毒・手洗いによる手荒れ(手湿疹)が非常に起こりやすいと言えます。重症にもなりやすいです。

ステロイド軟膏を塗って一旦改善してもまたすぐに悪化

アトピー性皮膚炎の主な治療薬はステロイド軟膏ですが、手荒れ(手湿疹)にも使用します。強めのステロイド軟膏をしっかり塗ればある程度は湿疹は落ち着かせることができます。

しかし、湿疹が改善してきたからといってステロイド軟膏を塗る量を減らしたり、弱いステロイド軟膏に切り替えると、すぐに重度の手荒れ(手湿疹)が再発してしまいます。ガッチリと塗り続けなければ良い状態を保つことができません。

ステロイド軟膏は炎症にかかわる免疫細胞の活動を抑える効果があるのですが、皮膚の保護・防御作用はそれほど強くありません。重度の手荒れ(手湿疹)に対してステロイド軟膏 ”だけ” を使用してもなかなかうまくいかないんです。

アルコール消毒・手洗いによる手荒れの予防法

アルコール消毒・手洗いによる手荒れ(手湿疹)の原因は、手の皮膚表面の皮脂欠乏、皮内/皮下の水分欠乏が主な原因です。

ステロイド軟膏などの抗炎症剤を使用して一旦炎症を抑え込み、不足している皮脂や皮内/皮下の水分を補充することが手荒れ(手湿疹)を完治・再発防止させるために重要です。

皮脂や水分の補充

皮脂や水分の補充には以下のものが利用できます。

保湿剤

以前の記事で紹介しましたが、保湿剤の中にも種類があります。皮脂の補充だけでなく、皮内/皮下の保湿効果が高い『モイスチャライザー』がおすすめです。

ハンドクリーム

最近は多数のハンドクリームが市販されています。どれを選んだら良いか迷ってしまいますね。

ワセリンやシア脂などは皮脂の補充グリセリンなどは皮膚/皮下の保湿に役立ちます。両方の成分を含んでいるハンドクリームの方が効果が高いかもしれません。(値段も高いかもしれません^^;)

保湿剤やハンドクリームは『手の保護・湿疹の予防』が目的です。アルコール消毒・手洗いをする度に塗ると非常に効果的です。1日5〜10回と頻回になってしまうかもしれませんが、毎回塗るのが大事です。
保湿剤やハンドクリームには強い副作用はほとんどないため、頻回に塗っていてもほぼ問題ありません。もし使用していて体に合わないと思う場合は、かかりつけ医と相談をしましょう!

ナイトグローブ(手袋)

就寝中にグローブ(手袋)をつけるのも保湿効果があるようです。綿よりもシルクの方が摩擦が少なく、肌への負担が少ないと言われていますが・・・根拠となる研究論文を発見できませんでした。

寒い時期は手を温める効果もあります。ただ、皮膚が温まると痒みが強くなる場合もあるので、その場合は無理をしないでください。

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Dr.小柳

アトピーの方の手湿疹はかなり治療が難しいです。普段からの予防が大事ですよ!

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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