にゃほー。今日は『貧血』に関する話題だよ!
院内で採血したお子さんの1割程度に軽度の貧血がみられるので、今日は小児の貧血の話題を提供です。
鉄欠乏性貧血
貧血とは
貧血とは、簡単に言うと「血が薄くなった状態」です。
軽度の貧血だと自覚症状はほとんどありませんが、貧血が進むと、立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつき、頭痛、動悸などの症状が出ることがあります。
あまり注目されていませんが、1歳前後のお子さんの1〜2割程度が軽度の貧血があると言われています。
小児の貧血のほとんどが『鉄欠乏性貧血』
貧血には様々な原因がありますが、小児で圧倒的に多い(9割以上)貧血が『鉄欠乏性貧血』です。
鉄は血液細胞(赤血球)の材料であり、体内の鉄が不足すると血液細胞(赤血球)を作ることができなくなり貧血になります。
鉄分は体の成長にも必要な栄養素で、成長著しい1歳前後のお子さんはかなりの鉄分が消費されます。成人と比べ、体の小さい小児は、もともと体内に蓄えている鉄分が少なく、『鉄欠乏性貧血』になりやすいんです。
鉄は脳の発達にも必要
鉄分はまた、神経の発達にも必要なことがわかっています。極度に鉄分が不足すると神経系の発達に悪影響があることがわかってきました。
興奮して大泣きした時にけいれんを起こす「憤怒けいれん(泣き入りひきつけ)」などは鉄欠乏が原因の一つと言われています。
鉄分を上手に摂ろう!
鉄は食事から摂るのが基本
重度の鉄欠乏性貧血では『鉄剤』と呼ばれるサプリメント薬剤で鉄分を補充します。
しかし、これは病気に対しての ”治療” であり、こうなる前に食事からうまく鉄分を摂取したいところです。
お子さんが上手に鉄分を摂取する方法
食品の中で鉄分を多く含むのは、レバー、赤身魚(マグロ、カツオなど)が知られていますが、離乳食前後のお子さんが食べるにはやや難があります。
1歳前後のお子さんにおすすめなのが、大豆(納豆や豆乳)、ほうれん草、小松菜、ひじきなどです。
昔は『鉄欠乏』は少なかった
鉄欠乏が問題になったのはつい最近です。昔は鉄欠乏の子どもはかなり少なかったんです。
昔の鍋や包丁などはステンレス加工やテフロン加工などがされておらず、調理の最中に鉄分が溶け出し、食品の中に混入していたそうです。
特に意識しなくても鉄分を毎日食べていたんですね。
現代は『鉄卵』なるものが・・・
「鍋や包丁などから鉄分を摂取する」というのを現代に復活させた商品があります。
『鉄卵』なる商品です。
単なる鉄の塊です。これを鍋や味噌汁の中にいれてぐつぐつ煮るのです。鉄分がイオンになって溶け出すようです。
おそらく鉄分の補給としては効果があると思いますが、医者としてこれを強く勧めるかというと・・・微妙です。
というのは、効果・安全性の研究があまりなされていないからです。
1〜2回使用するだけで「赤錆」が浮いてくるそうです。赤錆を食べていいかと言われると・・・・よくわかりません。
やっぱり鉄分は食品から摂るのが安全だと思います。
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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