にゃほー。
今日は『成人の食物アレルギー』特集だよ!
成人の食物アレルギー
日本人成人の2人に1人が何らかのアレルギー疾患(花粉症、喘息、アトピーなど)を持っている時代になりました。
最近では上記の疾患以外に、『成人の食物アレルギー』が激増してきているのが問題となっています。
『成人の食物アレルギー』と『乳幼児の食物アレルギー』の違い
上のグラフをご覧ください。
成人の食物アレルギーの原因食品は「果物・野菜」「小麦」「甲殻類」が3大アレルゲンであり、「鶏卵」「乳」「小麦」が3大アレルゲンである乳幼児と大きく異なります。
これは、”成人の食物アレルギーが乳幼児の食物アレルギーと全く違う病態である” ことを意味しています。
『成人の食物アレルギー』と聞くと、”子供の頃の食物アレルギーが治らないまま大人になったのかな?” とイメージされる方も多いと思いますが、実際のところ、乳幼児期の食物アレルギーが改善せずに成人まで持ち越すのはそれほど多くありません。
成人の食物アレルギーの多くは10歳代以降に初めて発症したもの
成人特有の『特殊な食物アレルギー』
乳幼児期に発症する食物アレルギーは、アトピー性皮膚炎や乾燥肌などの皮膚のトラブルが主な原因であることがわかっています。
これに対し、成人になってから発症してくる食物アレルギーは様子が異なります。
花粉食物アレルギー症候群(口腔アレルギー症候群)
成人の食物アレルギーの最大の原因食品は「果物・野菜類」です。10歳代以降に発症してくることが多いのですが、近年の研究から、この原因がわかってきました。
「果物・野菜類」でアレルギーを起こす原因物質が、花粉に含まれる成分とかなり構造が似ており、花粉症の人がこの成分を摂取すると、「花粉っぽい成分が体内に侵入してきた!」と勘違いをするようなんです。
このことから、花粉が関連する果物・野菜アレルギーを『花粉食物アレルギー症候群』と呼びます。
花粉症といってもスギ花粉症だけでなく、ヒノキ花粉症、シラカンバ花粉症、ハンノキ花粉症、オオアワガエリ花粉症、カモガヤ花粉症、ブタクサ花粉症、ヨモギ花粉症など、様々な植物の花粉症が影響します
花粉食物アレルギー症候群は食べた時に口がイガイガするのが主症状なことから、別名『口腔アレルギー症候群』と呼ばれることもあります。
『花粉食物アレルギー症候群』は詳しく説明すると数時間の講義になってしまうので、そのうち特集します。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
大人の食物アレルギー、第二位がなんと「小麦」です。
この中で乳幼児期の小麦アレルギーが長引いている人はごくわずかで、ほとんどの方は10歳以降に新規発症のアレルギーです。
成人になってから初めて出てくる小麦アレルギーで割合が多いのが『食物依存性運動誘発アナフィラキシー』というアレルギーです。
このアレルギーは「食物を食べるだけなら症状は出ない」「運動をするだけなら症状は出ない」→『原因食品を食べて、運動が重なると強いアレルギー症状(アナフィラキシー症状)が出る』という、特殊なアレルギーです。
小麦、甲殻類(エビ・カニ)が原因になることが多いアレルギーです。
『食物依存性運動誘発アナフィラキシー』もマニアックな分野で、長い話になってしまうので、そのうち特集しますね。
成人の食物アレルギーは相談できる場所が無い!
皆さんに質問です。”成人の食物アレルギーって何科にかかれば良いでしょうか?”
以前は成人の食物アレルギーは少なく、あまり問題にされなかったのですが、近年爆増してきており、皆さんどの科に相談して良いのか困っているようです。
食物アレルギー知識が最もあるのは『小児科』です。間違いありません。その中でもアレルギー専門医は「食物経口負荷試験」などの専門診療を行なっており、最も詳しく相談ができます。でも、成人が『小児科』にかかるのって抵抗ありますよね?
私は以前から、「成人の食物アレルギーを気軽に相談できる場所を作りたい!」という思いがあり、『アレルギー科』を主体としたクリニックを開院します。大人も診察します!
『小児科』の診察もしますが、診察室・診察時間を明確に分けています。
成人の食物アレルギーでお困りの方、是非ご相談ください!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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