にゃほー。
今日は食物アレルギーのQOLに関するお話だよ!
『完全除去』と『微量摂取可』には大きな違いがある
用語説明 『QOL』
Quality of life(クオリティ オブ ライフ)の略。
医療・介護の現場でよく用いられる言葉で、肉体的、精神的、社会的、経済的、すべてを含めた「生活の質」「生活の快適さ」を意味します。
『QOL』は病気に限らず、様々な場面で利用される言葉ですが、今回は「食物アレルギーとQOL」に絞ってお話しします。
最重症の食物アレルギーではQOLが極めて低くなる
食物アレルギーは人によって重症度に大きな差がある
生卵を多量に食べた時だけ口が痒いだけの「ごく軽症」の人もいれば、牛乳1滴でも命を落とす危険がある「最重症」の人もいます。
”食べ物に牛乳1滴でも混入してしまったら命を落とすかも” という状況を想像してみてください。
外食はおろか、工場で作られている既製食品も気軽に食べることはできません。
最重症の食物アレルギー
「最重症」の食物アレルギー患者さんでは、例外なく”かなり多くの食物” に対してアレルギーがあります。
食物アレルギー患者さんの中には、牛乳・小麦・鶏卵・大豆・ピーナッツ・ナッツ全般・エビ・カニ・イカ・タコ・貝類・魚類・肉類・魚卵・白米・そば、これら全てで症状が出てしまうような「超・最重症」の方も非常に稀ですがいらっしゃいます。
白米でも症状が出てしまうため、粟稗(あわ・ひえ)などの雑穀を食べたり、野菜、アミノ酸栄養剤などで辛うじて栄養を摂って生活するのです。
最重症食物アレルギー患者さんのQOL
最重症食物アレルギー患者さんでは、洗い終わった食器などに微量残留している食物成分にも注意が必要であり、他の人の食器を使うのも危険です。
このように、”最重症の食物アレルギー患者さん” は生活に物凄く多くの制限があり、物凄くQOLが低くなります。
『完全除去』と『微量摂取可』のQOLの違い
牛乳を例に考えてみます。
- 「牛乳1滴でも命が危ない」
- 「牛乳1滴ならきっと無症状」
この2つ、たった1滴の差ですが、全く違うと思いませんか?
「牛乳1滴でも命が危ない」だと、食器などの残留乳成分も危険です。「牛乳1滴ならきっと無症状」なら普通に洗った食器ならまず大丈夫です。
ほんの1滴の違いですが、QOLには”天と地” ほどの差があります。
食物アレルギー患者さん(およびそのご家族)にとって『完全除去』は物凄いストレス
最重症例はやや極端な例かもしれませんが、食物アレルギー患者さん、およびご家族にとって、『完全除去』というのが物凄いストレスになることは想像に難くありません。
食物アレルギー患者さんにとって「完全除去を脱して、微量摂取は可能」という状態になることが最初に目指すべき目標です!
今日は「完全除去」と「微量摂取可」の大きな違いについて解説しました。
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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