みなさんこんにちは。
学会に参加していて気づいたことがあります。
10年ごとに『流行』がある
日本アレルギー学会学術大会に絶賛参加中です。
一日中講演を聴いて新しい知識を吸収しまくっていますが、一つ気がついたことがあります。
学術大会のメインテーマは10年ごとに流行りが変わる
学術大会のメインテーマ
各分野の専門家が集まった『学会』という組織があります。
国内のアレルギー専門医が集まった学会が『日本アレルギー学会』です。
各学会はおよそ1年に1回(たまに1年に2回開催している学会も存在)、『学術大会』という大規模な勉強会を開催しています。
学術大会では全国各地の専門家が集合し、研究成果の発表をしたり、それを聴いたりします。
多くの学術大会は2〜3日間のスケジュールで行われ、ありとあらゆるテーマについて話し合われます。
ほとんどの分野がカバーされているのですが、学術大会の “中心になる分野” というのが存在します。
およそ20〜10年前 『気管支喘息』
およそ20〜10年前は『気管支喘息』が学術大会での議論の中心でした。
当時は喘息死も多く、重症喘息で長期入院患者がたくさんいました。
吸入ステロイド薬の登場により、喘息死や喘息入院が激減し始め、それに関連する研究成果がたくさん発表されていました.
およそ10年前〜近年 『食物アレルギー』
10年前頃から、学術大会でのメインテーマが『食物アレルギー』にシフトしました。
学校給食での食物アレルギー死亡事故などがあり、世間一般からも食物アレルギーが注目されました。
食物アレルギーが主に後天性疾患(生まれつきではなく、生まれた後からその体質になってしまう病気)であることがわかり、そのメカニズムなどがかなり解明されました。
食物アレルギーは “予防ができる病気” だろうと考えられるようになり、今も活発に議論が交わされています。
現在 『アトピー性皮膚炎』
そして、今回の学術大会で最も勢いのあるテーマが『アトピー性皮膚炎』です。
この数年間で数多くの新規アトピー性皮膚炎薬が開発・販売され、その効き目について多くの研究発表がなされています。
アトピー性皮膚炎は近年まで「塗り薬」がメインであり、なかなか寛解(症状ゼロの状態に安定)させるのが難しい病気だったのですが、この数年、「内服薬」「注射薬」が開発され、中等症・重症のアトピー性皮膚炎も寛解状態を狙えるようになってきました。
この数年で使えるようになったアトピー性皮膚炎「内服薬」「注射薬」はいずれもとても良く効くようです。
ただし、12歳未満の小児には使用できません。
というわけで、今回の学術大会では『アトピー性皮膚炎』を重点的に学びます!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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