専門医については昨日のブログでわかったけど、医学博士って何なのかな?
博士取得はイバラの道
博士を取得する道のり
4年制大学で理系の学部では、卒業までに「学士」を取得し、卒業した後はそのまま就職をするか、「修士」や「博士」を取得するために大学院へさらに進学するのが一般的なルートです。
これに対し、医者の場合は6年間も大学医学部に通い、卒業と同時に「学士」を取得します。卒業直後に医師国家試験を受験して合格すると、ほとんどの人が研修医として働き始めます。卒後すぐに大学院へ進学する人はほぼ皆無です。
「博士」の学位を取得したい人は、医師として3年〜10年程度の経験を積んでから大学院に入学し、4年間の大学院生活で様々な研究を行い、その研究をまとめた卒業論文を書くなどして、「修士」を飛ばして「博士(医学)」の学位を取得できます。
研修医と大学院生はどっちが上級医?
上記のように、医学の道は他の学部とはシステムが大きく違うため、研修医が終わって医者として働き始めてから大学院に入るのが一般的です。
医学の大学院生は『学生』なのですが、実際は医師免許を持っており、すでに医師として十分な経験を積んでいることがほとんどです。年齢としては30〜35歳くらいの方が多く、明らかに研修医よりも多くの経験を積んでいます。
大学院生は働きながら研究する苦学生
医学の大学院生は研究だけに集中できる人はほとんどおらず、ほとんどの場合、大学病院の医師として働きながら、診療が終わった後の深夜や休日を返上して研究を行なっています。
無給医問題
少し前に社会問題になりましたが、大学病院で働く大学院生は薄給または無給で働いていました。むしろ大学院生としての学費を払う必要があり、働いているのにマイナスという人も少なくありませんでした。
数年前からこの『無給医問題』がクローズアップされるようになり、徐々に待遇は改善してきているようです。
なぜ博士の学位を取得するのか
これほどの苦労をして大学院に通い、博士を取得できたとしても、一般病院で働く医師としての給料や待遇は全く変わりません。
では、なぜ博士取得を目指すのか? それは、この一言に尽きます。
病気の原因究明や、治療法などにつながる研究をして医学の発展に少しでも貢献がしたいから
というわけで、医学博士は臨床的な知識だけでなく、細胞培養や動物実験などの基礎研究を行った証と言えます。
取得するのが大変なので、医学博士を取得する医師は年々減少しており、医師全体の1割程度と言われています。
日本の医学研究が世界に遅れを取らないようにするためにも、大学院生の待遇をもっと改善して、博士の学位取得を目指す医師がもっと増えてほしいなと思います。
医学博士って何かと大変な資格なんだね・・・
文責; 小柳貴人(アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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