
にゃほー。今日は舌下免疫療法に関する研究の紹介だよ!

みなさんこんにちは。
成育医療センターから素晴らしい研究報告が出てきましたよ! 今回はプレスリリースの発表を ”chat GPT” さんに要約してもらいました。
ダニ舌下免疫療法(SLIT)の実力
国立成育医療研究センターの研究チームは、アレルギー性鼻炎の治療法の一つである「ダニ舌下免疫療法(SLIT)」が、小児にも大きな効果を発揮することを全国規模のデータから明らかにしました。これまで、この治療がアレルギー性鼻炎症状を改善することは知られていましたが、5~12歳の子どもに対して、入院や抗菌薬(抗生物質)の使用を減らせるかどうかはわかっていませんでした。
研究の方法
研究チームは、2015~2021年度に医療保険のレセプト(診療明細)データを解析しました。ダニ舌下免疫療法を始めたグループ(10,985人)と、同じ時期に治療を受けなかったグループ(同人数)を、年齢や病気の傾向が近くなるように調整して比較。両者を3年間追跡しました。
主な結果
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抗菌薬の使用量が13.7%減少
鼻炎や咳などが改善し、細菌感染と診断される機会が減ったと考えられます。 -
入院率が65.2%減少
喘息発作や感染症で入院するケースが大幅に減りました。 -
医療費の増加はわずか(約8.9%)
高額な医療費増加はなく、むしろ予防効果で長期的にはコスト抑制の可能性があります。
なぜ入院や抗菌薬使用が減ったのか?
はっきりとした理由はまだ分かりませんが、3つの可能性が考察されています。
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免疫力の改善
ダニやハウスダストに対するアレルギー反応は、体のウイルスへの抵抗力を弱めます。治療によりこの抑制が弱まり、風邪などの感染症に強くなった可能性があります。 -
鼻炎症状の改善
鼻づまりやくしゃみが減ることで、副鼻腔炎や長引く咳など、抗菌薬が必要な病気になるリスクが減った可能性があります。 -
喘息のコントロール向上
舌下免疫療法を始めると定期的に診療を受けるため、喘息治療も適切になり、結果的に感染や重症化が減った可能性があります。
アレルギー性鼻炎の現状
アレルギー性鼻炎は、世界で小児の約25%、成人の約40%が持つとされ、日本でも増加しています。1998年は約30%だった有病率が、2019年には約50%に。原因は環境の変化や生活習慣の影響と考えられています。
舌下免疫療法は、薬で一時的に症状を抑えるだけでなく、**アレルギー体質そのものを改善できる「根治的治療」**の一つです。しかし、小児を対象に長期的な効果を確かめた国内データは限られていました。
今回の研究の意義
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5~19歳の小児・思春期でも、舌下免疫療法は3年間効果が持続。
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入院や抗菌薬使用を大きく減らせる。
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医療費への負担が少なく、予防的な意味でも価値が高い。
これらは、重症化予防や薬剤耐性菌対策の観点からも重要です。抗菌薬の使いすぎは耐性菌を増やす原因となるため、この治療は公衆衛生上もメリットがあります。
今後の課題
今回の研究は治療中の3年間を追跡しましたが、治療終了後も効果が続くかはまだ不明です。今後はさらに長期的な調査が必要です。また、レセプトデータには病名の正確さや詳細な理由の特定に限界があるため、症状や生活の質の変化も含めた多面的な評価が求められます。
まとめ
この研究でわかったことを簡単に言うと…
・ ダニ舌下免疫療法は、アレルギー性鼻炎だけでなく、感染症や喘息の悪化による入院を減らす効果も期待できる。
・ 抗菌薬の使用を減らすため、耐性菌対策にも貢献できる。
・ 医療費増加も軽微であり、長期的に見れば医療費の削減に貢献する可能性がある。
つまり、この治療は「アレルギー性鼻炎の薬」以上の存在で、こどもの健康を守る予防的治療法としても有望ということです。
【発表論文情報】
題名(英語):Real-World Effectiveness for Sublingual Allergen Immunotherapy Among School-Aged Children and Adolescents
著者名:大久保祐輔¹、桑原優²、佐藤さくら³、坂下雅文⁴、森田英明⁵.⁶
所属
(1)国立成育医療研究センター 社会医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室(責任著者)
(2)独立行政法人国立病院機構三重病院 アレルギーセンター
(3)国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー疾患研究部
(4)福井大学医学部 感覚・運動医学講座 耳鼻咽喉科学領域
(5)国立成育医療研究センター 免疫アレルギー・感染研究部
(6)同センター アレルギーセンター
掲載誌:Allergy DOI:10.1111/all.16646

舌下免疫療法を導入される方がかなり増えてきました。スギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎の方、オススメですよ〜^^
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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