夏ももう終わりだけど、まだまだ暑いね〜。今日は夏っぽい果物、パイナップルのお話だよ!
それってほんとにアレルギー?
パイナップルで口がイガイガ
”生のパイナップルを食べると口がイガイガしたり、口の周りが赤くなるんですが、アレルギーですか?” というご相談を結構いただきます。特に小学生以降に多いイメージです。
実は、この『パイナップルで口がイガイガ』はアレルギーとは限らないんです。
本当はみんなが『イガイガ』している
パイナップルやキウイフルーツなど、食べるとなんとなく ”ピリッ” っとする果物があります。
これは、果汁に含まれる『タンパク質分解酵素』の影響です。
パイナップルは『ブロメライン』というタンパク質分解酵素を含んでおり、お肉や魚などの消化分解を手伝ってくれる作用があります。”ステーキ肉などをパイナップルと一緒に焼くと柔らかくなる” というのはこの酵素の作用です。
この『ブロメライン』は口内の粘膜にも作用して、”ピリピリ” ”イガイガ” の原因になります。分解作用はそこまで強くないので、口の中が溶けてしまうようなことはありませんのでご安心ください。
口内で感じる ”イガイガ感” の強さは個人差が大きいので、全く感じない人もいます。
果物に含まれるタンパク質分解酵素
パイナップル以外でもこの『タンパク質分解酵素』を多く含む果物として、キウイフルーツ(酵素名;アクティニディン)やパパイヤ(酵素名;パパイン)などがあります。いずれも生で食べると少しピリピリ感を感じやすい食べ物です。
専門的な呼び方になりますが、タンパク質を分解する作用のある酵素はすべて『プロテアーゼ』と呼びます。上記の果汁酵素は全て『プロテアーゼ』の一種です。
実は、ほぼ全ての果物にこのプロテアーゼが含まれているのですが、その量は様々です。ごく微量しか含んでいない果物も多いです。どちらかというと ”南国系フルーツ” に多く含まれているイメージです。
アレルギーかどうかは専門医と相談しましょう
もちろん、”果汁で口がイガイガ” は食物アレルギーの症状の場合もあります。症状だけで『プロテアーゼの影響』か『食物アレルギー』かは判断するのはとても難しいです。”口周囲の発赤” もどちらの場合もあります。
食物アレルギーが疑われる場合は、アレルギー血液検査(特異的IgE検査)やアレルギー皮膚検査(プリックテスト)などを活用して診断します。
アレルギー専門の医者じゃないときちんと調べてもらえず、「食べなきゃいいよ」と言われて終わる場合があるようです。
食物アレルギーじゃない場合もあるんだね。果物アレルギーにはもっと深い秘密があるんだって!機会をみて紹介するよ!
文責; 小柳貴人(アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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