にゃほー。
アトピーには大きく分けて2種類あるんだって!
2種類のアトピー性皮膚炎
皆さん、今日はアトピーを理解する上でとても大事なお話です。
アトピーについては今までのブログでも多く取り上げましたが、一貫して言ってきたことは、
アトピーは皮膚のバリア異常が原因
保湿剤塗りまくってバリアを治そう!
ということです。
これは間違っていないのですが、実はこれ、アトピー性皮膚炎の半分しかカバーできていないんです。今まで全く触れてきませんでしたが、アトピーにはもう1つの病態があります。
『外因性アトピー』と『内因性アトピー』
アトピー性皮膚炎は大きく分けて2種類に分かれます。『外因性アトピー』と『内因性アトピー』です。
どちらも皮膚炎を起こすのは一緒なのですが、原因が全く違います。簡単に分類すると以下のようになります。
- 『外因性アトピー』=”皮膚のバリア異常” が原因で皮膚炎が起きるアトピー性皮膚炎
- 『内因性アトピー』=”皮膚のバリア異常” 以外の原因で皮膚炎が起きるアトピー性皮膚炎
外因性アトピー
外因性アトピーは ”バリア機能異常” によるアトピーです。特徴を以下にまとめます。
- フィラグリン遺伝子異常など、先天的(生まれつき)に皮膚バリアの異常がある方が発症しやすい
- 強い乾燥肌になりやすい
- 「とびひ」など、皮膚の感染症を起こしやすい
- 経皮感作の原因になりやすく、食物アレルギーを合併しやすい
- 保湿剤を大量に塗り続けることで皮膚のバリアが徐々に修復され、症状が軽快することが多い
- 血清IgE(食物アレルギーやダニアレルギー、スギ花粉アレルギーなどの即時型アレルギーで上昇)が高値の場合が多い
- 乳児期から発症しやすい
当ブログでたっぷりと取り上げてきましたので、詳細は「過去ブログ」をご参照ください。
内因性アトピー
内因性アトピーは ”バリア機能異常以外” によるアトピーです。特徴を以下にまとめます。
- フィラグリン遺伝子異常など、先天的皮膚バリア異常はない場合が多い
- 乾燥肌は軽度〜ほとんどない
- 皮膚の奥深くに結節(しこり)が形成されることがある
- 食物アレルギーなどの即時型アレルギーの合併も少ない
- 血清IgEは正常の場合が多い
- ニッケルやコバルトなどの金属アレルギーが合併している場合がある
- 10歳代以降に多く、女性に多い(女性:男性=80%:20%)
当ブログでは全く触れてきませんでしたが、外来で数多くのアトピー性皮膚炎患者さんを診療していると、数名ですが、「内因性アトピーだろう」と思しき方がいらっしゃいます。
どちらのタイプなのか、しっかり判断して治療するのが大事
『内因性アトピー』ではそもそもバリア機能異常がない場合が多く、保湿剤を塗りまくってもあまり改善しない場合が多いです。
また、『内因性アトピー』では、皮膚の奥深くで遅延型アレルギー反応(金属アレルギーなど、ゆっくり炎症を起こす)が起きていることが多く、ステロイド軟膏などの炎症を抑える外用薬(塗り薬)がなかなか行き届かないようです。
『外因性』か『内因性』か、しっかりと見極めて治療を変える必要があります。
外因性アトピーの治療
・現在残存している炎症をステロイド軟膏やタクロリムス軟膏等の外用剤で鎮静化
・保湿剤を十分に塗って皮膚のバリア機能異常を治していく
内因性アトピーの治療
・強めのステロイド軟膏などを使用して、現在残存している炎症をある程度まで軽くする
・ステロイド内服薬や免疫抑制薬、デュピルマブ(注射薬)、抗リウマチ薬(内服薬、最近アトピー性皮膚炎にも使用認可されるようになりました)などを使用して、皮膚深部の炎症を抑え込む
内因性アトピーの治療は皮膚科の先生が最も精通している分野になります。小児では内因性アトピーの方は少ないですが、確実にいらっしゃるので、私もしっかりと診療できるように猛勉強しますっ!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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