にゃほー。
「食物アレルギーが治っても触っちゃダメ!」ってどういうこと?
『食物アレルギー生活管理指導表』の提出時期です。食物アレルギーの治りかけの方から、「牛乳に触れても大丈夫ですか?」とか「料理実習で卵を割っても良いですか?」などの質問を多くいただくので、解説します!
『食べられる=食物アレルギー完治』ではない!
食物アレルギーは通常摂取量を食べられるようになったら『除去解除』
食べる機会の多い「鶏卵」「乳」「小麦」アレルギーを例に解説します。
「鶏卵」「乳」「小麦」の3大アレルゲンは、成長に伴って食物アレルギー体質が改善しやすい食品です。多くのお子さんは小学校入学前後には 1食分を症状なく食べられるようになり、給食での ”除去解除” となります。
給食除去解除=給食で除去する必要なし、普通に提供して良い
除去解除の基準は食材によって様々ですが、”「1食で食べる可能性がある量」をしっかりと食べられるようになったら除去解除” というのが基本的な考え方です。
3大アレルゲンでは以下の量がおおよその除去解除判断レベルです。(主治医によって多少の差はあります)
- 鶏卵:加熱卵1個
- 乳:牛乳200ml
- 小麦:うどん1玉または食パン1枚
このくらいの量を連日症状なしで摂取できるようになれば、給食での食品除去解除を検討します。
『除去解除』の時点ではまだ完治していない
『除去解除』というのは、あくまでも「1食分に耐えることができる」というだけであり、大量に(例えば2食分)食べたら症状が出る可能性があります。
また、食品摂取後にすぐに運動したり、入浴したりすると、腸管からの吸収量が増えてしまうと言われており、普段の安静時には「1食分」食べられる人でも、食後に運動が重なると症状が出てしまうこともあります。
『除去解除』になったばかりの時はまだ ”食物アレルギー体質” が残存!
『除去解除』の指示が出てから2〜3年間程度は症状が出てしまう可能性が残存しているため、注意が必要です。
食べられるようになったら『さわっても良い』のか?
接触による皮膚症状は最後まで残存
1食分が普通に食べられるようになったら『除去解除』と説明しましたが、「給食除去解除となり、普通に卵焼きや牛乳などを提供されるようになった人」は生卵や牛乳に触れても大丈夫なのでしょうか?
例えば、「鶏卵アレルギーがあったけれど、先日卵焼きなどが食べられるようになりました。給食での鶏卵除去が解除され、給食でも卵料理を食べ始めました。今度、学校で調理実習がありますが、卵を素手で割っても良いですか?」のような質問です。
答えは・・・NOです!
実は、アレルギー食品の皮膚接触による症状(皮膚の発赤やかゆみ)といった症状は、食べられるようになった後もしばらく残ることがわかっています。食べて出る症状よりも、皮膚に触れて出る症状のほうが圧倒的に出やすいんです。
「牛乳200ml飲めるようになったんだけど、口の周りに牛乳が付着したら、そこだけ赤く腫れた」などはよく経験します。
『食物アレルギー完治』は『食品除去解除』のずっと先にある
『食品除去解除』後も、しばらくの間はアレルギー食品の「多量摂取」「摂取後の激しい運動」「皮膚直接接触」は控える必要があります。
上記全てができるようになれば、”食物アレルギー完治” と呼べる状態ですが、『食品除去解除』から数年かかることが多いようです。(どのくらいの期間で完治に至るかは人によって様々です)
アレルギー食品除去解除後、少なくとも1〜2年間は「アレルギー食品多量摂取」「アレルギー食品摂取後の激しい運動」「アレルギー食品皮膚接触」に注意!
牛乳アレルギーで『除去解除』になったからといって、すぐに牛乳入り石鹸や、乳脂入り保湿クリーム・化粧品などを利用すると皮膚が真っ赤に腫れ上がる可能性があります!ご注意ください。
当ブログでは、今後も「教科書や本には書いていないけれど、知らないと困ること」を紹介していきます!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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