皆さんこんばんは。
残念ながら国内でもオミクロン株の感染が増えてきました。オミクロン株について少しずつ状況がわかってきているようなのでご紹介します。
オミクロン株の特徴
デルタ株などと比較して重症化率は低め
オミクロン株の流行が先行している欧米でのデータが少しずつ集まってきていますが、オミクロン株はデルタ株など以前に流行した株に比べると重症化率は低い様子です。
英保健安全局の初期分析によると、『オミクロン型は別の変異型「デルタ型」に比べて入院に至る重症化率が50~70%低い』と報告されています。
”どの程度の症状から入院が必要か” というのは国や地方によってだいぶ変わるので、英国の状況が日本にそのまま当てはまる訳ではありませんが、各国の報告を見る限り、オミクロン株の重症化率はこれまでの株と比べて低いのは間違いなさそうです。
上気道感染が多く、下気道感染が少ない
どうもオミクロン株は鼻腔(鼻の中)や咽頭/喉頭(喉のあたり)といった上気道(声帯よりも口側)感染の比率が多く、肺炎などの下気道(声帯よりも肺側)感染の比率が少ないようです。
これが重症化率の低さの主な理由です。
肺炎などの下気道感染を起こした場合は呼吸困難・呼吸不全に至って入院加療が必要になることが多いですが、鼻腔や喉の感染では呼吸不全に至ることは少なく、発熱や咳の症状で治ることが多いです。
爆発的な感染力
重症化率が低いことはとても良いのですが、オミクロン株の感染力は今までの比ではないようです。ものすごく感染力が強い様子です。
英国保健安全局の報告より
横軸が日数、縦軸が患者数
オミクロン株の患者数の増加スピードは今までの株の比ではなく、爆発的に増えています。
欧米では現在、オミクロン株の大流行が起きており、1日あたりの感染者数が過去最大を記録している国が多いようです。
入院する人が少なくても医療崩壊
第5波では一部で『医療崩壊』
皆さんもご存知だと思いますが、日本での新型コロナ感染第5派では一部の都道府県で「救急車で患者を搬送したいが、受け入れてくれる病院が無い」という医療崩壊が起こりました。
新型コロナ感染者の増加で入院ベッドがかなり埋まってしまったのが主な原因でした。
オミクロン株では『入院ベットがガラガラでも医療崩壊の危険性』
現在沖縄の新型コロナ感染者数が爆発的な増加で過去最多を記録していますが、入院が必要な患者は比較的少ないようです。しかし、すでに病院が対応困難になってきているという報道がありました。
新型コロナ感染者の家族などはほぼ間違いなく濃厚接触者になります。濃厚接触者はおよそ2週間自主隔離(自宅や隔離施設にこもる)するように決められており、子どもや配偶者が新型コロナに感染してしまった看護師さんたちが2週間以上休まざるを得ない状況になっているようです。
病院の入院ベッドは余っているのに、病院スタッフの多くが濃厚接触者として休んでいるため、病院が従来の機能を果たせない
オミクロン株の流行がゆっくり進行すれば、医療機関はなんとか耐えられるでしょうが、あまりにも急激な大流行をしてしまうと全国で医療崩壊が起きてしまうかもしれません。
重症患者が少なくても医療崩壊が起きちゃう恐れがあるんだね。
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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