食物アレルギー

「豆、ナッツ類は5歳以下には食べさせないで」に反対!

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Dr.小柳

みなさん、こんにちは。
先日、消費者庁から「豆・ナッツ類は5歳以下には食べさせないで」という注意喚起が出ました。これに対して、アレルギー専門医としての持論を述べます。

幼小児の豆・ナッツ類摂取

「豆、ナッツ類を5歳以下に食べさせないで」という注意喚起があった

一昨年、節分の行事で4歳の子どもが豆で窒息死

一昨年、島根県での節分の行事中に、4歳のお子さんが豆を食べて窒息死するという痛ましい事故がありました。

消費者庁の調査では、2019年までの6年間で、ゼリーや飴などの食品を喉に詰まらせて死亡した14歳未満の子供は80人以上であり、そのうちの9割が5歳以下だったそうです。

消費者庁から注意喚起

かみ砕く力や飲み込む力が弱い5歳以下の子どもは、食べ物を気管につまらせる危険性が高く、特に豆やナッツは乾燥して軽いため不意にのどに入りやすいとして、消費者庁は1月20日付けで、『豆やナッツ類を5歳以下の子どもに食べさせないで』という注意喚起を発出しました。

「豆、ナッツ類を5歳以下に食べさせない」に反対です

今回の消費者庁からの注意喚起を見てビックリしました。
食物アレルギーの観点から見ると、『豆・ナッツ類を子どもに食べさせないこと』は良く無いことと考えられます。

乳幼児早期から食べることでアレルギーが予防される

このブログでも度々お伝えしていますが、幼少期からさまざまな食品を食べる練習をすることで食物アレルギーが予防されることがわかってきました。

LEAP研究 2015年
・5歳まで1回も食べさせなかった子どもは17.2%がピーナッツアレルギーになってしまった
・生後6ヶ月〜1歳の乳児期からピーナッツ(ピーナッツバターなど柔らかい食品)を食べさせ続けた子供は3.2%しかピーナッツアレルギーにならなかった

アレルギー界でとても有名な研究なのですが、「ピーナッツアレルギーになるのが怖い」からといって子どもにピーナッツを食べさせないでいると、ピーナッツアレルギーになる可能性が高まるんです。逆に、離乳食時期から食べる練習をしているとピーナッツアレルギーにはなりづらくなります。

他の食品でも同様の傾向が見られており、乳幼児期の『偏食』や『無闇な除去』は将来の食物アレルギーにつながってしまう可能性が考えられています。

細かく砕くか、ペースト状にすれば乳幼児だって食べられる

もちろん、豆やナッツを粒のまま幼児に食べさせるのは窒息の危険性があります。

細かく砕いて他の食べ物に混ぜたり、ピーナッツバターのようにペースト状にすれば離乳食時期から食べることが可能です。

5歳以下のお子さんには豆・ナッツ類を粒のまま食べさせるのはやめましょう!

これが正解だと思います。

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Dr.小柳

消費者庁に喧嘩を売っているわけではありません。食というのは、さまざまな観点から検証が必要な大事な分野です。今回はアレルギー専門医の立場としてコメントさせていただきました。

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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