にゃほー。
今日は『食物経口負荷試験』のお話しだよ!
食物アレルギーの皆様。
『食物経口負荷試験』ってどんなタイミングで行うかご存知ですか?
今日はそれについて解説します。
食物経口負荷試験
食物経口負荷試験とは
食物アレルギーで、原因の食品を食べて症状が出るかどうかを観察する検査
「本当にその食品が食物アレルギーの原因なのかどうか」「どの程度の量までなら食べることができるか」を判定できる
症状が誘発される検査であり、危険を伴う
場合によってはアナフィラキシーショックなどの生命を脅かす症状が誘発されてしまうこともある
食物経口負荷試験は全ての人で行う訳ではない
食物アレルギーで通院中の方で「食物経口負荷試験とか1回もやったことないんだけど!」という方もいらっしゃるかもしれません。
実は食物経口負荷試験は ”全ての人に必要な検査” ではありません。
では、どのような人が行う検査なのでしょうか?
食物経口負荷試験を行うタイミング
冒頭でまとめましたが、食物経口負荷試験は「その食品が原因かどうかわからない場合」「どの程度の量まで食べられるかわからない場合」に行います。
原因食品を見つけるための食物経口負荷試験
食事後にアレルギー症状が出てしまった時に食物アレルギーが疑われる訳ですが、多くの場合、血液検査で原因食品が推定できます。しかし、血液検査などを行なってもどの食材が原因なのかはっきりしない場合があります。
そのような時に、原因として疑われる食品を食べさせてみて症状が出るかどうかを観察することがあります。
摂取可能量を判定するための食物経口負荷試験
このブログで何度もお話ししていますが、食物アレルギーは『普段から症状が出ない程度の量を食べ続けると治りやすい』ことがわかっています。
でも、”どのくらいの量までなら大丈夫か” なんて血液検査だけでは分かりません。
実際に食べて症状が出るかどうかを見る必要があります。
誤食などで症状が出てしまった場合、食べられる量がおおよそ推測できる
食物アレルギー患者さんの多くは一生のうちに数回、「間違えて食べさせてしまった」という『誤食』を経験します。もちろん誤食をしたことがない人もいると思いますが、「全患者の半数以上が一生のうちに1回以上の誤食を経験する」なんていうデータもあります。
誤食は症状が誘発されてしまう可能性があるため、本来なら避けるべき事故です。
しかし、誤食は『(この食品)を(この量)間違って食べたら(こんな症状)が出た』という重要なデータが手に入ります。意図した訳ではないけれど、自宅などで『食物経口負荷試験』をやってしまったみたいな状況です。
例
・現在、ゆで卵黄1/2個まで食べさせて良いと言われている。
・祖母が間違ってカステラを1/2切れ食べさせてしまった(誤食)→全身に蕁麻疹が出てしまった
上記の例の場合、『摂取可能量=ゆで卵黄1/2個』『全身蕁麻疹誘発量=カステラ1/2切れ』となります。
ギリギリ症状が出るかどうかの量(=閾値量)は『ゆで卵1/2個以上、カステラ1/2切れ未満』となります。
およその摂取可能量が推測できる時は「食物経口負荷試験不要」
完全除去を続けていて、どのくらいの量を食べられるか全くわからない場合は食物経口負荷試験を行います。
誤食などで症状が出てしまいそうな量が推測できる場合は食物経口負荷試験は不要です。
また、血液検査(特異的IgE検査)が非常に高値の場合はごく微量で症状が誘発される可能性が高いため、ある程度数値が下がってくるまで食物経口負荷試験を待つ場合もあります。
「食物アレルギーで通院しているのに食物経口負荷試験をやったことがないな〜」という方もいらっしゃると思いますが、『摂取可能量がおおよそ推測できている』のが理由です。
また現在はコロナ禍のため、「できる限り他の人と一緒の部屋にいないようにする」「院内に長時間滞在しないようにする」などの観点から食物経口負荷試験の実施数を減らしています。ご了承ください。
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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