みなさん、『冬季オリンピック』見てますか?
私は個人的に夏のオリンピックよりも冬のオリンピックが好きです。特に「スキージャンプ」と「スノボのハーフパイプ」が楽しいです。今回のオリンピックは ”微妙な判定” や ”失格” などが物議を醸し出していてなんだか水を差している印象ですね。
今日は以前のブログでも少し取り上げましたが、『喘息とアスリート』のお話です。
適切な喘息治療で ”トップアスリート” になれる
スピードスケートの清水宏保 選手
皆さん、1998年長野オリンピックのスピードスケートで金メダルを獲得した『清水宏保 選手』をご存知ですか?
彼は幼児期から喘息体質に悩まされていたそうです。
喘息治療は 1990年代に ”大きな変化”
清水選手が喘息持ちなのに金メダルを手に入れることができたのは、『喘息治療の発展』が寄与しているかもしれません。
1980年代まで、「喘息死」や「1ヶ月以上の長期喘息入院」などの重症喘息が多く存在しました。
1990年代に、『吸入ステロイド薬』が喘息治療のメイン薬剤として一般的に使用されるようになり、『吸入ステロイド薬』の処方数に反比例するように重症喘息が減っていきました。
気管支喘息治療の中心は『吸入ステロイド薬』
『吸入ステロイド薬』が気管支喘息の治療に使用されるようになって以来、重症喘息だけでなく、小児の軽症喘息においても「良い状態を保つ」ことが容易になってきました。
『吸入ステロイド薬』が使用される前は小児科病棟には常に喘息入院患者がいる状態でしたが、今は長期喘息入院はほとんどいません。『吸入ステロイド薬』は喘息治療のブレイクスルーを果たした偉大な薬なんです。
現在、気管支喘息の治療の中心は『吸入ステロイド薬』であり、これに他の内服薬などを組み合わせて喘息発作を予防するというのがスタンダードな治療です。
何年も『吸入ステロイド薬』を続けて大丈夫なの?
『ステロイド薬』と聞くと過剰に副作用を心配される方がいらっしゃいますが、『吸入ステロイド薬』は内服薬や点滴薬と比べ、血中に吸収される量が少ないため、気にするほどの副作用はないことがわかっています。
副作用が全くないわけではありません。
「小児期から毎日『吸入ステロイド薬』を続けた人は、『吸入ステロイド薬』を全く使用したことがない人と比べ、最終身長が1cm程度低くなる」ことがわかっています。
これが気にするほどの副作用なのかどうかは議論が分かれる所ですが、”副作用がないわけではない” ですので、喘息の状態が落ち着いているのに漫然と『吸入ステロイド薬』を使い続けるのはダメです。
『吸入ステロイド薬』の登場により、今や気管支喘息は ”不治の病” ではなくなった印象がありますが、『吸入ステロイド薬』を漫然と使用するのではなく、適切使用が大事だと思います。
私がオリンピックで一番興奮したのは、長野オリンピック、スキージャンプ団体の「船木〜」の場面です( ・∇・)
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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