みなさんこんにちは。
今日は私が「食物アレルギーの専門家」になるため、どのように勉強しているかお話しします。
基礎的なアレルギー知識は『教科書』や『学会』、『臨床現場』から
専門医としてのアレルギー知識を得るため、医師向けの『アレルギー学教科書』や『アレルギー関連の学会』で必死に勉強しました。
『学会』というのはその分野を極めたい医師の集まり・勉強会です。アレルギーに関連する学会は複数あり、「アレルギー全般」「アトピー性皮膚炎」「気管支喘息」「小児のアレルギー」など、学会によってメインテーマに少し違いがあります。
アレルギー専門医を目指す医師はこれらの『教科書』『学会』と、『日々の臨床経験』を積んでから”アレルギー専門医試験” を受験します。
専門医になってからが ”本当の勉強”
アレルギー専門医試験に合格すると晴れて『アレルギー専門医』を名乗れるわけですが、日々のアレルギー診療を行なっていると『教科書』や『学会』で得た知識だけでは太刀打ちできないことがわかります。
教科書知識だけでは太刀打ちできない臨床現場
例えば、乳アレルギー患者さんに「少量食べる練習」を指導する時、”牛乳換算で5mlまで摂取OK” という指示を出したとします。
すると、患者さんから「牛乳そのものだと口がイガイガして全く摂れそうにありません。牛乳がつなぎで入っている食べ物で練習したいのですが・・・」などと相談を受けます。
牛乳をつなぎとして使用されている『市販の食パン』などは食べやすくてオススメ食材なのですが、製品によって含有している牛乳量は大きな違いがあります。(少ないものでは1枚中0.3ml程度、多いものだと1枚中6ml程度含有)
「少量食べる練習」を指導するためには、”その食品にどの程度の量のアレルゲンが含まれているのか” をかなり正確に把握している必要があります。
『アレルゲン含有量』の資料はほとんど無い
自宅で料理される場合はアレルギー食材を入れる分量を調整できますが、既製品を買ってくる場合はどのくらいの量が含まれているか全くわかりません。
既成食品にどれだけのアレルゲンが含有されているか、詳細がわかる資料は残念ながらほとんど無いのが現状です。
メーカーに『問い合わせ電話』しまくった
以前私はアレルゲンがどれだけ含まれているか、食品メーカーの「お客さまセンター」に以下の質問を問い合わせしまくった経験があります。
「食物アレルギーのお子さんが安心して食べられるようにアレルギー食材の含有量を教えてください。お願いします。」
含有される量を正確に教えてくれるメーカーもあれば、「企業秘密です!」の一点張りで全く教えてくれないメーカーもあります。
さらには『クレーム担当者』に電話を回されて、クレームとして処理されたことさえあります。
この時は心が折れました。質問しただけなのに ”クレーム扱い”・・・
苦い経験もありますが、メジャーな食品についてはアレルゲン含有量をある程度把握することができました。
アレルギー分野は『教科書に載っていない知識』が満載です
専門医の資格を取得したところがスタートラインであり、その後の臨床経験や上記のような苦い経験を繰り返しながら成長していく必要があります。
まだまだ勉強不足ですが、さまざまなところから知識を吸収して成長していきたいと思います。
頑張ります!!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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