食物アレルギー

スイカのアレルギー ”もどき”

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にゃっほー

にゃほー。
今日は夏らしく『スイカ』の話題だよ!

それってほんとに『スイカアレルギー』?

毎年夏になると、「こどもがスイカを食べたら口の周りが赤くなった」というご相談をいただきます。

多くの方がまず真っ先にイメージするのが『スイカの食物アレルギー』ではないでしょうか?

でも、本当に食物アレルギーなのでしょうか?

スイカアレルギーは ”イネ科食物の花粉症” が関与

瓜科のスイカやメロン、キュウリなどを生で食べると「口がイガイガする」「口の周りが赤くなる」などの症状が出る食物アレルギーの方がいます。

これは口腔アレルギー症候群(OAS)または 花粉食物アレルギー症候群(PFAS)と呼ばれる食物アレルギーであり、イネ科植物(ブタクサやカモガヤなど)の花粉症があると発症しやすくなる特殊なアレルギーです。

「イネ科植物の花粉成分」と「瓜科の果物/野菜に含まれる成分」の構造が非常に似ているために交差反応を起こすことで発症します。簡単にいうと、瓜科の果物をイネ科花粉と勘違いしてしまうんですね。

このアレルギーは口周囲、口の中、喉の奥などに症状が出るのですが、全身症状はほとんど起こしません。さらに、このアレルギー成分は加熱すると症状が出なくなる特徴があり、『メロン果汁を使用した焼き菓子』などは症状が出なくなります。

花粉症が関与するアレルギーであるため、乳幼児には少なく、成人に多いアレルギーです

幼児の場合は『接触皮膚炎』のことが多い

「スイカで口周囲が赤くなった」というご相談で最も多いのが2〜5歳のお子さんです。この年代でイネ科花粉症はかなり稀です。ということは前述の口腔アレルギー症候群ではないということになります。

では何なのか?

「2〜5歳程度のお子さんがスイカを食べて口のまわりが赤くなった」という場合、多くは『接触皮膚炎』です。

幼児の顔の皮膚は非常に柔らかく、大人と比べてバリア機能が弱いことが知られています。口の周りによだれや食べ物の汁が付着すると皮膚がかぶれることがあります。この「皮膚に刺激物質が付着して皮膚炎がおきた状態」を『接触皮膚炎』といいます。

特にスイカやメロンは非常に水分の多い果物であり、小さなお子さんが食べると口の周りに汁が付きやすい果物です。果汁によって口の周りが ”かぶれる” んです!

本物のスイカアレルギー(口腔アレルギー症候群)なのか、果汁による接触皮膚炎なのかは、血液検査(得意的IgE検査)である程度判断できます。スイカアレルギーを疑っている人は一度血液検査をするのをお勧めします。

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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