にゃほー。
今日は2017年に日本小児アレルギー学会から発表された提言について解説だよ!
鶏卵アレルギー発症予防
『鶏卵アレルギー発症予防に関する提言』 日本小児アレルギー学会
2017年6月、『乳幼児の鶏卵アレルギー発症予防』を目的に、日本小児アレルギー学会が提言を発出しました。
当時は多くのマスコミにも取り上げられたのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
あれから5年以上の月日が流れ、今まさに乳幼児育児の真っ最中の方の多くは上記の提言についてご存じない方が多いのではないかと思い、当ブログで再度取り上げてみます。
提言の内容
提言の内容をざっくりとまとめると以下の通り。
- アトピー性皮膚炎(痒みのある乳児湿疹も含む)にかかった赤ちゃんに、鶏卵アレルギー発症予防を目的にして、医師の管理のもと、生後6ヶ月から鶏卵摂取を微量から開始することを推奨する
- 摂取する前に、アトピー性皮膚炎を治しておくことが望ましい
- アレルギー専門医の診療を受けることを推奨する
- あくまで発症予防のためであり、すでに鶏卵アレルギーを発症している赤ちゃんは、別の対応が必要
趣旨としては【アトピー性皮膚炎や乳児湿疹の赤ちゃんは鶏卵アレルギーになりやすいので、医師と相談しながら早いうちから微量の鶏卵を摂取しましょう】ということです。
根拠となった研究
この提言の根拠となった研究がPETIT study(プチスタディ、2017年発表)です。
- 対象者:生後数か月からアトピー性皮膚炎を発症している児
- 湿疹の治療:適切なスキンケアとステロイド外用薬で、生後 6 か月までに皮膚炎を寛解させた
- 鶏卵の摂取方法:生後 6 か月から加熱全卵粉末*を 50mg、生後 9 か月からは 250mg を毎日 1 回摂取した
- 結果:1 歳時点で加熱全卵粉末 7g の負荷試験を行った。対照群(鶏卵除去群)では 37.7%が陽性だったが、加熱 全卵粉末摂取群では陽性率 8.3%であった
この研究のポイントは【鶏卵摂取開始前にアトピー性皮膚炎をしっかり治療した】ことです。
最近の研究では、皮膚炎が強く残存している状態で鶏卵の早期(生後6ヶ月以前)摂取を行ってもうまくいかないことがわかっています。食物アレルギーを予防したり治したりするために、皮膚の状態を最善に保つ努力が必須です。
まとめ
・アトピー性皮膚炎の乳児は食物アレルギーになりやすい
・しっかりと皮膚炎を治療した上で、医師の指導の下で『鶏卵早期(生後6ヶ月頃)摂取』を行うと鶏卵アレルギーを予防できる可能性がある
・この方法はあくまでも「予防」であり「治療」ではないため、すでに食物アレルギーを発症してしまっている赤ちゃんに行うのは危険である
無理な鶏卵摂取は危険です。上記の『予防』は、こどもの食物アレルギーに精通している医師と相談しながらやりましょう!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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