みなさんこんにちは。
今日は『登園・登校許可証明書』について語ります。
登園・登校許可証明書
多くの園・学校で導入されている
みなさん、お子さんがインフルエンザや感染性胃腸炎にかかってしまった際に、症状が改善して登園・登校を再開するタイミングで医師が記載した『登園・登校許可証明書』の提出を求められたことはありませんか?
長岡市内の多くの園・学校でこの『登園・登校許可証明書』の提出が求められているようです。
法的根拠は?
実はこの『登園・登校許可証明書』ですが、提出を義務付ける法的根拠は無いそうです。
学校:「学校保健法」
保育所:「保育所における感染症対策ガイドライン」
これらの法律・ガイドラインにインフルエンザ等の感染症に対しての『登園・登校許可証明書』について触れていますが、提出を義務付けるような記載はありません。
さらに厚生労働省のQ&Aによると、
Q.19: 児童のインフルエンザが治ったら、学校には治癒証明書を提出させる必要がありますか?
「学校において予防すべき感染症の解説〈平成30(2018)年3月発行〉」によると、「診断は、診察に当たった医師が身体症状及び検査結果等を総合して、医学的知見に基づいて行うものであり、学校から特定の検査等の実施を全てに一律に求める必要はない。治癒の判断(治癒証明書)も同様である。」とされています。
なお、「保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)」によると、「子どもの症状が回復し、集団生活に支障がないという診断は、身体症状、その他の検査結果等を総合的に勘案し、診察に当たった医師が医学的知見に基づいて行うものです。罹患した子どもが登園を再開する際の取扱いについては、個々の保育所で決めるのではなく、子どもの負担や医療機関の状況も考慮して、市区町村の支援の下、地域の医療機関、地区医師会・都道府県医師会、学校等と協議して決めることが大切になります。この協議の結果、疾患の種類に応じて「意見書(医師が記入)」又は「登園届(保護者が記入)」を保護者から保育所に提出するという取扱いをすることが考えられます。」とされています。
(令和元年度インフルエンザQ&A/厚生労働省)
長い文章ですが、特に義務付けるような記載はありません。
なぜ提出を求める園・学校が多いのか
この『登園・登校許可証明書』を求める園・学校がなぜ多いのか?
おそらく、保育所や学校での感染症流行を防ぐため、医師から「もう治ったから他の人に感染させる可能性はほとんどありませんよ」というお墨付きがほしいのだと思います。
しかし、感染症というのは症状が改善してもまだ感染力が残っている場合があります。感染力が残っているかどうかは通常の診察では全くわかりません。
そのため、そもそも医師としては「もう症状はほとんどありませんよ」という証明として『登園・登校許可証明書』を発行しており、「他人に感染しませんよ」という意味で発行しているものではありません。
コロナ禍で ”提出不要” の施設が増加
新型コロナウイルス感染症が流行して以来、感染拡大を防止する目的で「不要・不急の医療機関への受診を控える」動きが拡大しています。
これに伴い、インフルエンザなどの感染症の ”『登園・登校許可証明書』は不要” という施設が全国的に増加傾向にあるようです。
長岡市ではまだまだ『登園・登校許可証明書』の提出を求める園・学校が多いようです。
現状は ”各施設ごと” に方針がまちまちです。不要なら「不要である」と、”国” として明確な方針を打ち出してほしいところです。
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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