アトピー性皮膚炎

『秋生まれ』はアトピーになりやすい

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にゃっほー

にゃほー。秋に生まれるとアトピーになりやすいんだって!ほんと?

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Dr.小柳

数年前の研究データですが、明らかな差があったみたいですよ。

『秋生まれ』はアトピーになりやすい

原著論文

Association of the incidence of atopic dermatitis until 3 years old with birthmonth and with sunshine duration and humidity in the first 6 months of life: Japan Environment and Children’s Study, Yokomichi H, et al, BMJ Open. 2021.

世界的に有名な医学雑誌であるBMJに掲載された論文です。山梨大学大学院の横道先生が筆頭著者となっています。

フリーアクセスの論文ですが、英語論文ですので一般の方は無理しなくてOKです。医療関係者は勉強のために読んでみてください。

研究方法

環境省が主導している「子どもの健康と環境に関する全国調査=エコチル調査」から得られた研究結果を解析

  • 生まれてから 3 歳までに実施した質問票調査データを基に、各年齢でアトピー性皮膚炎と医師に言われたかどうかを調査
  • 気象庁発表の日照時間と湿度データを用い、日照時間が長い群と短い群、湿度が高い群と低い群に分け、アトピー性皮膚炎の発症率との関連を調べた
  • また、生まれ月、日照時間、湿度、両親のアレルギー性疾患の既往がどれだけ子どものアトピー性皮膚炎発症の確率を高める誘因となっているかについても解析した

結果

秋から冬、特に10~12 月生まれの子どものアトピー性皮膚炎発症率がもっとも高く、逆に4~6月生まれの子どもの発症率は低いことが分かった。

また、気象庁の日照時間・湿度のデータを用いて発症率との関連を分析したところ、これらの気象条件はアトピー性皮膚炎の発症とは関連が認められなかった。

解説

この研究は日本国内でおよそ10万人の子どもが参加している「エコチル調査」のデータを解析したものです。

アトピー性皮膚炎の発症に「日照時間」や「湿度」、「生まれ月」などが関与しているのかどうかについて調べたところ、”春生まれと比べ、秋生まれはあきらかにアトピー性皮膚炎の発症が多い” という研究結果が出ました。

なぜ秋生まれにアトピーが多いのかについては定かになっていないのですが、10万人もの子どもを調査した大規模研究で差が認められたことから、この結果は無視できません。

この論文では「日照時間」や「湿度」とアトピーの関係を調べているのですが、有意な差が出なかったようです。もしかしたら解析方法を変えると少し違う結果が出るかもしれないなと個人的には思いました。(生後1週間のみの湿度データで解析するなど)

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Dr.小柳

「秋生まれにアトピーが多い」なかなか興味深いですね〜!

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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