納豆にもアレルギーがあるんだって!
サーファーに納豆アレルギーが多い!?
昔から ”お盆を過ぎると海のクラゲが増える” なんて言われますが、今日はこの『クラゲ』と『納豆アレルギー』に関連があるというお話しです。
大豆アレルギーでも納豆は食べられる場合が多い
納豆は主に大豆から作られますが、発酵食品である納豆は醤油や味噌と同様、大豆のアレルギー成分(Gly m4というタンパク質)のほとんどが発酵分解されており、大豆アレルギーであっても食べられることが多いです。
アナフィラキシー(全身のアレルギー症状)を起こすこともほとんどなく、納豆は安全な食品と捉えられています。
数年前から納豆アレルギーの報告が見られるようになってきた
納豆を食べたおよそ半日後(5〜14時間後)に全身の蕁麻疹や腹痛、嘔吐、呼吸困難など、強いアレルギー症状(アナフィラキシー症状)が見られる症例が、数年前から少しずつ報告されるようになってきました。
通常の食物アレルギーの場合、原因食品の摂取から強い症状が出るまでは数分〜長くても2時間程度とされています。摂取から半日も経過してから強い症状が出るというのは明らかに特殊です。
なぜこれほどゆっくり症状が出てくるのかははっきりと分かっていないのですが、納豆アレルギーの原因物質がとても大きく、消化・分解・腸管吸収にとても時間がかかるからなのではないかと推測されています。
原因物質はPGA
”摂取から半日経過して強いアレルギー症状が出る” 特殊な納豆アレルギーの原因物質はPGA(ポリグルタミン酸)です。
納豆の『ネバネバ』に含まれる成分です。納豆以外の大豆食品はこの成分を全く含んでいません。
PGAは人間の腸の中で分解することができる物質で、本来は無毒です。食品の保存剤や増粘剤、旨味成分、保湿剤、医薬品や工業用品の安定剤などとして利用されることがあります。
しかし、この物質には食品表示義務が無いため、「安定化剤」「保存剤」などとしか表記されないことがほとんどです。
納豆アレルギーはマリンスポーツ愛好家に多い
この特殊な納豆アレルギーの患者の多くがサーフィンやダイビングなどのマリンスポーツ愛好科や、海人(あま)さんなど、普段から海中に出入りしている人であることがわかっています。
実は、特殊な納豆アレルギーの原因物質であるPGAはクラゲの触手にも含まれているのです!
クラゲに何回か刺されるうちに『PGAアレルギー』になってしまうのだろうと推測されています。
中華クラゲ(冷やし中華などの上に乗っているもの)を食べて発症する方もいるので注意してください。
わかりづらい食物アレルギーは『食物日記』がおすすめ
まだ報告されている症例数は少ない『納豆アレルギー』ですが、食べてからかなり時間が経ってから発症するため、『原因不明のアレルギー』として処理されてしまっている場合もありそうです。実際はもっと多くの患者さんがいるかもしれません。
食物アレルギーでは、どの食品が原因かはっきりしない場合は多々あります。その場合、アレルギー症状の出たタイミングの前、24時間以内に何を食べたか記録を残しておくと参考になる場合があります。
アレルギー症状を繰り返しているけど、原因がよくわからないという人は、是非『食物日記』をつけてみてください。
文責; 小柳貴人(アレルギー専門医 ・小児科専門医)
”クラゲと納豆” 全然違うのに同じ成分を含んでいるんだね。ビックリ!
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