にゃほー。
アトピー性皮膚炎を発症する子どもが近年減ってきているんだって!
今回の学会で一番びっくりしたのが、「アトピー患者が減ってきている」ということ。データを提示して解説します。
日本ではアトピー性皮膚炎患者が減少してきている
日本と韓国でアトピー性皮膚炎の有症率が下がってきた
ここ数年、日本や韓国ではアトピー性皮膚炎を発症する小児の割合が減少傾向にあります。
とても良いニュースですね!
後を追って食物アレルギーの有症率も下がり始めたように見えます。
アレルギー疾患に関する3歳児全都調査より(日本のデータ)
2008〜2017年韓国全国横断調査より(韓国のデータ)
グラフが違うので見づらいですが、日本も韓国もここ数年、『アトピー性皮膚炎』が減ってきていることがわかります。
なぜ減ってきているのか
アトピー患者が減少してきているのは統計的に確かなようです。でも、原因についてはまだよくわかっていません。
一つ考えられるのは、2014年に成育医療センターが発表した『アトピー家系に生まれてきた赤ちゃんに対して保湿剤を毎日塗布すると、アトピー性皮膚炎の発症が3割程度減少する』という論文が影響を与えた可能性があります。
この論文の発表以降、病院や産院、保健所などの育児指導の場で、赤ちゃんの『皮膚の保湿』や『スキンケア』の重要性を指導する機会がかなり増えているようです。
湿疹や乾燥肌が出てくる前から、赤ちゃんの肌を綺麗に保つ意識が高まったのがアトピー性皮膚炎発症を予防しているのかもしれません。
海外のデータ
海外ではアトピー予防がうまくいっていない
2014年の成育医療センターの発表以降、海外でも同様の研究が多数行われました。
それらの研究結果をまとめた論文があります。
結果は・・・『日本と同じように赤ちゃんに保湿剤を塗ってみたけど、アトピー性皮膚炎患者は減らなかったよ』
ビックリですね。何が違うんでしょう?
日本の研究と海外の研究の違い
なぜ日本ではアトピー予防がうまくいっている(ように見える)のに、海外ではうまくいかなかったのか?
理由はよくわかりませんが、いくつか推測されています。
- 海外では研究に参加した人がきちんと保湿剤を塗っていなかった(偏見かもしれませんね)
- 使用している保湿剤の種類が影響した可能性
- 人種などが影響した可能性
- 国による気候の違い(湿度など)
- 対象になった赤ちゃんがアトピー家系だったかどうか(日本ではアトピー家系の赤ちゃんを集めた、海外ではアトピー家系ではない赤ちゃんも入れた研究が多かった)
いろいろと挙がっていますが、推測でしかありません。
6番目の説が一番有力で、『アトピー家系の子は将来アトピーを発症する可能性が高いため保湿剤による予防効果がありそうだが、アトピー素因がない(アトピー家系じゃない)場合はそもそもアトピーになる子が少ないため保湿剤の予防効果がほとんどない』ということが言えそうです。
『アトピー性皮膚炎の発症を予防できるかどうか』についてはまだ研究段階と言えます。ただ、日本でアトピー患者が減り始めていることは確かなようです。さらに研究が進んで、アレルギー患者がもっと減っていくといいですね!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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