アトピー性皮膚炎

保湿剤の剤型による効果の差

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にゃっほー

にゃほー。
今日は塗り薬の『剤型』の比較だよ!

塗り薬の剤型によって効果の違いはあるのか?

保湿剤には様々な『剤型』がある

みなさんが使用している保湿剤、どんな『剤型』ですか?

保湿剤には「軟膏」「クリーム」「ゲル」「ローション」「フォーム」など、様々な『剤型』があり、その日の気分で使い分けている方もいらっしゃいます。

今日は ”『剤型』によって効果に違いがあるかどうか” という論文を紹介します。

原著論文

Effectiveness and safety of lotion, cream, gel, and ointment emollients for childhood eczema: a pragmatic, randomised, phase 4, superiority trial.

Ridd MJ, et al.Lancet Child Adolesc Health. 2022 Aug;6(8):522-532. doi: 10.1016/S2352-4642(22)00146-8. Epub 2022 May 23.

要旨

生後6カ月から12歳のアトピー性皮膚炎患児550例を対象に、保湿剤の剤形別(ローション、クリーム、ゲル、軟膏)の有効性および安全性を実践的無作為化第IV相優越性試験で比較。主要評価項目は親の報告による16週間の湿疹重症度とし、湿疹自己評価指標(POEM)を用いて週1回評価した。

その結果、16週間の湿疹重症度に剤形間の差は見られず(全体のP=0.77)、調整後のPOEMスコアのペアワイズ差はクリーム対ローション0.42点、ゲル対ローション0.17点、軟膏対ローション-0.01点、ゲル対クリーム-0.25点、軟膏対クリーム-0.43点、軟膏対ゲル-0.18点だった。

有害事象の総数に有意差はなかったが(ローション36%、クリーム39%、ゲル40%、軟膏35%、P=0.79)、軟膏(9%)はローション(20%)、クリーム(17%)およびゲル(19%)よりヒリヒリ感(stinging)の頻度が低かった。

解説

今回の研究結果を一言で言うと、”保湿剤の「ローション」「クリーム」「ゲル」「軟膏」各剤型でアトピー性皮膚炎への有効性に差がなかった” ということです。

”剤型により保湿効果に多少の差がある” という他の研究結果もあるのですが、今回の論文は『保湿効果』を比べたものではなく、『治療効果』を比べた研究です。単純に比較することはできません。

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Dr.小柳

今回の論文は海外で販売されている『ある保湿剤』のデータです。日本で最も処方されている『ヒルドイド®︎』での比較データではないことに注意してください。個人的に『ヒルドイド®︎』は剤型ごとに保湿効果&治療効果に大きな差があるように感じています。
使用している保湿剤の「塗り心地」や「効果」に不満がある時はご相談ください!

文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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