にゃほー。
なんと、『頭皮の消臭スプレー』が原因のアナフィラキシー事故が発生しちゃったみたい!大変だよ!
頭皮の消臭スプレーによるアナフィラキシー事故
事故の概要
引用 朝日新聞デジタル
マンダムは7日、卵由来の殺菌成分を含む制汗スプレー「マンダム モワトレ 薬用デオドラントショット」と「ルシード 薬用 頭皮とカラダのデオドラントジェットスプレー」の計108万本を自主回収すると発表した。卵アレルギーをもつ子どもへの健康被害が3件確認されたためという。
2019年2月と20年4月に発売した、殺菌成分の「リゾチーム塩酸塩」を含むスプレータイプの商品。20年3月~21年9月に卵アレルギーをもつ2~10歳の子ども3人がスプレーを吸い込み、嘔吐(おうと)や呼吸困難、じんましんなどの症状が出た。うち1人は重いアレルギー反応のアナフィラキシーだった。いずれも通院や薬を服用するなどして回復したという。
原因は『リゾチーム塩酸塩』か
リゾチームは卵白に含まれるタンパク質の一つであり、一部が鶏卵アレルギーの主なアレルゲンである『オボアルブミン』や『オボムコイド』などと結合していることが知られています。リゾチームもアレルゲンになることがあるようですが、リゾチーム自体のアレルゲン性は低いとされています。(双和薬局『リゾチーム塩酸塩製剤と卵白アレルギー』参照)
今回の事件では全身蕁麻疹や嘔吐、呼吸困難などの全身性アレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしており、リゾチーム単体よりもリゾチームと結合していた『オボアルブミン』や『オボムコイド』が原因になった可能性があるのではないかと推測されます。
鶏卵アレルギーは ”リゾチーム禁”
リゾチームは化粧品だけでなく、医薬品、食品添加物にも利用されている
リゾチームには抗菌作用があり、雑菌の繁殖を防ぐ効果が期待されています。今回の『ニオイ抑制スプレー』も皮膚の雑菌を抑えることを目的にリゾチームが添加されていたのではないかと個人的に推測しています。
リゾチームは抗菌作用だけでなく、抗炎症成分として気管支炎や喘息など呼吸器系の薬にも添加されていました。しかし、効果がはっきりしないことから、2016年にノイチーム®︎、アクディーム®︎、レフトーゼ®︎といったこれらの薬は販売中止となりました。
また、日持ちを向上させるため、食品添加物として用いられることがあるようです。雑菌の繁殖を防ぐ効果から日持ちが良くなるのかもしれません。→現在リゾチームは鶏卵由来成分として、特定原材料『卵』としての表記が義務付けられていますが、以前は『リゾチーム』という表記しかなかった食品も存在していたようです。(知らないと卵アレルギーでも食べてしまいますね・・・)
リゾチームは卵白成分!
鶏卵アレルギーのみなさん、リゾチームに御用心!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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