にゃほー。
昨日の続きだよ!
『ステロイド外用薬』についてしっかり理解するのが大事です。今日はもう少し掘り下げてお話しします。
ステロイド外用薬
ステロイド外用薬の分類
ステロイド外用薬はその有効成分の活性(強さ)により、5つに分類されています。
①Strongest ②Very strong ③Strong ④Medium/Mild ⑤Weak
出典 NPO法人 日本アレルギー友の会
一番弱い「Weak」ランクの薬は炎症を抑え込む効果が弱すぎてアトピー性皮膚炎の治療に適さないとされており、実際のアトピー治療にはI群(Strongest)〜IV群(Medium/Mild)が使用されています。
適材適所のステロイド外用薬
「どのステロイド外用薬を使用するか?」ですが、年齢や使用部位、皮膚炎の強さによって使い分ける必要があります。
まず皮膚炎の強さですが、「少し皮膚が赤いだけ」の軽度の皮膚炎であればMildランクで十分な場合が多いです。しかし、「炎症を繰り返して皮膚が分厚くなってしまった」強い皮膚炎ではStrongクラス以上のランクじゃないとなかなか効果が得られません。Mildランク以下の薬は濃度・活性とも弱く、分厚くなってしまった皮膚の深部に到達できないためです。
次に、使用部位ですが、顔や陰部の皮膚はとても薄く、弱いランクのステロイド外用薬でも深部まで届きやすいことがわかっています。ある程度の強さまでの皮膚炎ならMildランクで十分効果があります。これに対して四肢(特に手足)は皮膚が分厚く、深部まで薬が届きにくいため、Strongランク以上の薬が使用されることが多いです。
年齢によっても使い分けが必要です。赤ちゃんの皮膚はとても薄く、繊細なため、Mildランクの薬で深部まで到達しやすいですが、成人、特に皮膚炎・乾燥肌を繰り返して分厚くなってしまった皮膚ではMildランクでは役不足。Strongクラス以上の薬が使用されます。
強い皮膚炎・・・Strongランク以上
弱い皮膚炎、浅い皮膚炎・・・Mildランク
顔、陰部・・・Mildランク、治りが悪い時のみStrongランク以上
四肢、手足・・・主にStrongランク以上
乳児・・・主にMildランク
成人・・・主にStrongランク以上
上記の様な使い分けがありますが、「皮膚炎の強さの判定」などは主治医の経験によって多少左右されます。
ステロイド外用は「メリハリ」をつけて使用する
皮膚炎がほぼ無い様な状態で漫然とStrongランク以上の薬を使い続けるのは間違いです。
皮膚炎が軽症になったらMildランクへランクダウンするか、Strongランクの薬を塗る回数を減らしていきます。
逆に、しっかりと塗布しているのに皮膚炎が悪化してしまった時は薬の強さをランクアップする必要があります。
皮膚炎の強さを患者さん自身が見分けるのは難しい場合もありますので、皮膚炎がいまいち良くならない時は主治医に早めに相談しましょう!
ステロイド外用薬の副作用を防ぐために
「強いステロイドが長期間」になりそうなら『他の外用薬』も考える
昨日のブログで『ステロイド外用薬の副作用』について特集しました。
強いランクのステロイド外用薬ほど副作用は出やすくなります。
Strongランク以上の薬が長期間必要になりそうな場合、『ステロイド外用薬以外のアトピー治療薬』への変更も考慮します。
最近はタクロリムス(プロトピック®︎)やデルゴシチニブ(コレクチム®︎)など、ステロイド以外にも皮膚炎を抑える効果のある薬が数種類発売されています。これらの薬をうまく組み合わせ、ステロイド外用薬の副作用が出ない様に注意します。
中等症〜重症のアトピーでは内服薬や注射薬の新薬も
近年、従来の治療でなかなか改善しない中等症〜重症のアトピー性皮膚炎患者さん向けに、内服薬や注射薬の新薬が登場しています。
いずれも乳幼児には使用できないのですが、中学生以降になってもなかなか改善しないアトピー性皮膚炎では劇的に効く場合もありますので、主治医とよく相談しましょう。
ステロイド外用薬にも副作用はあるから、漫然と使用するのはダメなんだね。症状・部位・年齢に合わせた使い方が重要だよ!
文責; 小柳貴人(医学博士・アレルギー専門医 ・小児科専門医)
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