にゃほー。
集中講義第5弾だよ!
みなさんこんにちは。
今日も先日のアレルギー学会で学んだ知識のまとめです。
加熱卵黄による乳幼児食物蛋白誘発胃腸症
『ゆで卵黄による嘔吐』が激増している
数年前から話題になっているのですが、近年、国内で「ゆで卵黄を食べさせたら3〜4時間後に嘔吐した」という乳幼児が増えています。
特に離乳食で”鶏卵を食べる練習” として『ゆで卵黄』にチャレンジして発症するケースが目立ちます。
こういったケースは以前から目にしていましたが、なぜかこの数年、激増しているんです。
全国で増加している
学会でもこの数年のトピックスになっているのですが、全国的にかなりの増加傾向のようです。(正確な統計はないのですが、小児科臨床医の多くが感じている変化です。)
海外からの報告も散見されるようになり、日本ほどではないにせよ、世界的に増加傾向があるかもしれません。
通常の『鶏卵アレルギー』とは異なる疾患
この『ゆで卵黄を食べると数時間後に嘔吐』という食物アレルギーは、通常の『鶏卵アレルギー』とは全く異なる病気です。
- 血液検査(特異的IgE検査など)で異常が全く無い症例も多い
- 食べてから症状が出るまで数時間かかる(通常の鶏卵アレルギーは数分〜1時間程度)
- 嘔吐、下痢、血便、体重増加不良などの『消化器症状』がほとんど(蕁麻疹などは出ない)
- なぜか3歳頃には多くの子が自然治癒する
通常の食物アレルギーと異なることばかりです。
実はまだよくわかっていない病気
これだけ患者さんが増えている病気なのに、「どうしてこの病気になってしまうのか?」というメカニズムが全くと言っていいほどわかっていません。
通常の食物アレルギーは「乾燥肌」や「湿疹」などが大きく影響しており、皮膚の状態により食物アレルギーが形成されることが多いことがわかっています。
これに対し、卵黄乳幼児食物蛋白誘発胃腸症のメカニズムは本当に全くわかっていない状態です。
さらに、なぜか「成長に伴ってほとんどの患者さんが自然治癒する」んです。
2歳になる頃には7割程度が治癒。3歳になる頃には9割程度が治癒します。
これもメカニズムは全く不明です。
まだほとんど根拠はないのですが、一部の医師からは「腸内細菌がこの病気の発症や治癒に大きく関わっているのではないか」という意見があります。私もその考え方に賛成です。
今後もっと多くのデータが集まってくるのを待ちましょう!
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