アレルギー全般

妊娠中の食事が児のアレルギーに関係する?

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にゃっほー

今日はアレルギーに関連する論文を紹介するよ!

妊娠中の食べ物と児のアレルギー疾患を調査

Venter C, et al. The maternal diet index in pregnancy is associated with offspring allergic diseases: the Healthy Start study. Allergy. 2021 May 21. Online ahead of print.

妊娠中に野菜とヨーグルトを食べると児のアレルギーが減る!?

今回紹介する論文は、妊娠中に食べるものが児のアレルギー発症に関連するかどうかを調べた物です。

方法

  1. 妊娠中に食べた食事を調査し、野菜、ヨーグルト、フライドポテト、米または穀物、赤身肉、果汁100%のジュースおよびコールドシリアルをどのくらいの量食べたかどうかを調査。
  2. 産まれてきた児が4歳になるまでに、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎を発症したかどうかを調査。
  3. 上記1と2のデータを統計学的に比較し、妊娠中に何を食べていると、児のアレルギー発症に関連するかを調べた。

結果

野菜およびヨーグルトにアレルギー疾患予防効果が、フライドポテト、米、穀物、赤身肉、100%ジュース、コールドシリアルにアレルギー疾患の増加との関連が認められた。

本当にそうなのか?

この論文だけを読むと、妊娠中に野菜とヨーグルトをいっぱい食べると児のアレルギーが予防できるというデータに見えるかもしれません。

しかし、こういった論文は注意して解釈する必要があります。

この論文は、①妊娠中の食事、②児のアレルギー発症、の2つにしか注目しておらず、それ以外の要素についてはまったく調べていません。

例えば、

  • 児が産まれた後で何を食べて育ったか
  • 児が普段からスポーツをするかどうか
  • 都会に住んでいるか、田舎に住んでいるか

等々、どんな環境で児が育ったかについてのデータが全く含まれていません。

こういったデータが抜けてしまうと、データにさまざまな影響が入り込みます。

  • 都会育ちはコールドシリアルを食べる機会が多い
  • スポーツを日常的にする家庭は肉を食べる量が多い
  • 母が妊娠中に野菜・ヨーグルトを多く食べる家庭は、児が産まれた後、野菜・ヨーグルトを多く食べさせる

このような、調査されなかったデータが結果に影響するものをバイアスと呼びます

今回の論文はバイアスが多くて信用度は低め

私見ですが、今回の論文は調査されなかったデータの影響( バイアス)があるかもしれないため、信用度は少し低いのではないかと考えています。

食物繊維、発酵食品はアレルギーを減らすかもしれない

実は、他のいくつかの論文で、野菜などに多く含まれる食物繊維、ヨーグルトなどの発酵食品は、腸内の善玉菌を増やす効果があり、アレルギー疾患の発症を防ぐかもしれないというデータが集まってきています。

妊娠中に食べるのが児に影響するかどうかはわかりませんが、児自体が食物繊維・発酵食品を定期的にに食べるのはいい影響があるかもしれません。

また別の機会にまとめて紹介できればと思います。

文責; 小柳貴人(アレルギー専門医 ・小児科専門医)

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